米Power Integrations(パワー インテグレーションズ)は、+1.7kV耐圧のSiCパワーMOSFETを搭載した電源(フライバックコンバーター)IC を発売した ニュースリリース 。出力電圧が+600〜800Vのバッテリーを搭載した電気自動車(EV)や、燃料電池車(FCEV)、電動バス、電動トラックなどの電源回路に向ける。同社によると「+1.7kV耐圧のSiCパワーMOSFETを内蔵した車載用フライバックコンバーターICの製品化は業界初」という。
新製品は、SiCパワーMOSFETのほか、1次側制御回路や、2次側制御回路、1次側と2次側の絶縁機能などを内蔵した。このため、新製品だけで最大70W出力の絶縁型フライバックコンバーターを構成できる。「ディスクリートのSiCパワーMOSFETや電源制御ICなどを組み合わせて絶縁型フライバックコンバーターを構成する場合と比べると、プリント基板上の実装面積と部品点数のどちらも約50%削減できる」(同社)。
新製品のシリーズ名は「InnoSwutch3-AQ」。車載用半導体ICの品質規格「AEC-Q100」に準拠する。フライバックコンバーターの制御方式は、疑似共振(QR:Quasi-Resonant)。2次側で検出した出力電圧情報を1次側へ送るフィードバック経路には、誘導(インダクティブ)結合方式を使う同社独自の「FluxLink」技術を採用した。このため、トランスの追加巻線やフォトカプラーなどは不要である。1次側と2次側の絶縁耐圧は5kVRMSを確保した。
今回、最大出力電力が異なる2製品を発売した。最大70W出力の「INN3949CQ-TL」と、最大50W出力の「INN3947CQ-TL」である。2製品どちらも、入力電圧範囲は+40〜1200V。出力電圧は+5〜24Vの範囲でユーザーが設定できる。スイッチング周波数の設定範囲は25k〜95kHz。変換効率は90%程度が得られるという。パッケージはInSOP-24D。動作温度範囲は−40〜+150℃である。すでに販売を始めている。1000個購入時の参考単価は、NN3949CQ-TLが9.02米ドル、INN3947CQ-TLが5.64米ドルである。