ソニーは、2022年2月16日、完全ワイヤレスイヤホンの新製品「LinkBuds(リンクバッズ)」を発表した。同月25日に発売し、市場推定価格は約2万3000円(税込み)。リング型のドライバーユニットを採用した“穴あき”形状により、装着中に耳を塞がず周囲の環境音を聞くことができる。同社は合わせて米Niantic(ナイアンティック)との協業を発表し、音声ナビゲーションやエンターテインメントを楽しめる「音のAR(Augmented Reality)」サービスの拡充を進める。

リング型のドライバーユニットが特徴のソニーの完全ワイヤレスイヤホン「LinkBuds」
リング型のドライバーユニットが特徴のソニーの完全ワイヤレスイヤホン「LinkBuds」
(写真:ソニー)
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 LinkBudsは、ユーザーが常時装着して音楽再生や音のARサービスを利用することを想定して開発された。イヤホンは耳にすっぽりと収まるような小型で、重さは片耳が4.1gと、「ソニーの完全ワイヤレスイヤホン史上で最小・最軽量」(同社ホームエンタテインメント&サウンドプロダクツ事業本部モバイルプロダクト事業部モバイル商品企画部統括部長の伊藤博史氏)なことで、長時間装着し続けても疲れにくくなったという。

 過去にソニー(旧ソニーモバイルコミュニケーションズ)は、同様に周囲の環境音が聞こえる完全ワイヤレスイヤホン「Xperia Ear Duo」を発売していたが、「(LinkBudsは)Xperia Ear Duoとは別のもの。過去の知見は生かしているが、本製品は“ながら聞き”など多様化するユーザーのニーズをもとに、ゼロからコンセプトを作り上げた」と伊藤氏は話す。

ソニー(旧ソニーモバイルコミュニケーションズ)が18年4月に発売した「Xperia Ear Duo XEA20」
ソニー(旧ソニーモバイルコミュニケーションズ)が18年4月に発売した「Xperia Ear Duo XEA20」
(写真:ソニー)
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「音のAR」でパートナーと協業

 ソニーが注力するのは、音のARサービスの拡充である。同社は音声ARサービス「Locatone(ロケトーン)」を提供しており、観光地での観光案内や、アニメなどの舞台に行く“聖地巡礼”などでの音声案内サービスに利用されてきた。パートナー企業と連携することで、音声ナビゲーションやARゲームなど、音のARのサービス領域を広げていく狙いだ。

 「この製品はハードウエア性能で勝負する製品ではなく、ユーザー体験や価値、新たなライフスタイルの創出が必要になる。それはソニーだけでは実現できず、パートナー企業との連携がポイントになると考えていた」(同社ホームエンタテインメント&サウンドプロダクツ事業本部モバイルプロダクト事業部事業部長の中村裕氏)。

 音のARサービスとは、例えば音声ナビゲーションである。米Microsoft(マイクロソフト)が提供する3Dオーディオマップアプリ「Soundscape」は、スマートフォンのGPSなどを利用し、周囲の交差点や目的地の情報を音声で提供する。道案内を分かりやすくするだけでなく、視覚に障がいのあるユーザーの補助にも利用できる。マイクロソフトは同日にSoundscapeの日本語版を提供開始し、LinkBudsと機能連携すると発表した。

 ゲームなどのエンターテインメント領域でも音のARは活用される。同日にソニーとナイアンティックは音声AR領域での協業を発表。音のARを活用したゲーム体験の実現に取り組む。「まずは22年内に(AR位置情報ゲームの)『Ingress』を音のARに対応させ、LinkBudsで楽しめるようにする」と、ナイアンティック副社長でナイアンティック日本法人の代表取締役社長である村井説人氏は話す。

マイクロソフトの「Soundscape」アプリの画面の例
マイクロソフトの「Soundscape」アプリの画面の例
(写真:マイクロソフト)
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 音のARでは、センサーによる頭の向きの検出が重要になる。音のARサービス内で装着者に適した音声による情報提示ができるようになるからだ。例えば、正面にある音源からの音声は正面から、後方にある音源の音は後方から聞こえるようになり、情報を直感的に理解しやすくなる。LinkBudsはコンパス/ジャイロセンサーを内蔵し、装着者の頭の向きの検出などに活用する。

 このほかLinkBudsは、ソニーの立体音響技術「360 Reality Audio」に対応する。通話時のマイク音声をクリアにするノイズ除去機能には、5億以上のサンプルによる機械学習を用いた「高精度ボイスピックアップテクノロジー」を用いた。一方で、周囲の雑音を取り除くアクティブノイズキャンセリングには対応していない。

 LinkBudsはLi(リチウム)イオン2次電池を搭載し、連続稼働時間は音声再生で約5.5時間、通話で約2.5時間となり、待ち受け状態では最大11時間連続稼働するという。付属のケースで充電すれば合計で最大約17.5時間の音声再生が可能になる。IPX4相当の防滴性能を備えるほか、イヤホンを装着した耳周辺の顔をタップして操作できる「ワイドエリアタップ」機能を搭載する。

LinkBudsと付属の充電ケース
LinkBudsと付属の充電ケース
イヤホンは小型軽量で長時間装着しても疲れにくいのが特徴とする。従来製品の「WF-1000XM4」に比べて、イヤホン本体サイズは51%小型化、充電ケースは26%小型化したという。(写真:ソニー)
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ワイドエリアタップでLinkBudsを操作している様子
ワイドエリアタップでLinkBudsを操作している様子
「Spotify」の再生やプレイリストの切り替えが可能な「Spotify Tap」と連携した「Quick Access」機能では、ワイドエリアタップの操作のみで、音楽の再生などができる。(写真:ソニー)
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