米pSemi(ピーセミ)は、マッシブMIMO(Multi Input Multi Output)対応の5G通信インフラ機器に向けて、RFスイッチICの新製品を発売した ニュースリリース 。特徴は2つある。1つは線形性(リニアリティー)が高いこと。もう1つは、扱える電力が大きいことである。このため新製品を利用すれば、5G通信インフラ機器に搭載するビームフォーミング機能の帯域内伝送効率(スペクトル効率)を高められ、単位時間内により多くのデータを伝送できる。
新製品は、単極4投(SP4T:Single Pole 4 Throw)タイプのRFスイッチICである。使用可能な周波数範囲は1.8G~5GHz。5G通信の帯域(バンド)のn41(2.496G~2.690GHz)、n77(3.3G~4.2GHz)、n78(3.3G~3.8GHz)、n79(4.4G~5.0GHz)に適用できる。
扱える電力などの違いで2つの製品を用意した。1つは、扱える電力の実効値が37dBmで、ピーク値が45dBmの「PE42443」。もう1つは、扱える電力の実効値が40dBmで、ピーク値が50dBmの「PE42444」である。線形性を表すパラメーターの1つである入力の第3次インターセプトポイント(IIP3)は、2製品どちらも85dBmと高い。挿入損失は0.5dB。DCブロッキングキャパシターを各RF端子に接続する必要はない。
パッケージは2製品どちらも、実装面積が4mm×4mmの20端子LGA.最大動作温度は+105℃。すでに販売を始めている。価格は明らかにしていない。なお、新製品の製造プロセスは、RF用途に向けた同社独自のSOI(Silicon On Insulator)技術「UltraCMOS」である(サファイア基板を採用しているため、SOS(Silicon On Sapphire)プロセス技術とも呼ばれる)。また、集積したFETの線形性を高める同社独自技術である「HaRP」を採用した。