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 ロシアによるウクライナ侵攻の日系完成車メーカーへの影響は、今のところ限定的だ。トヨタ自動車はウクライナ販売でシェア1位だが規模は小さい。日系各社は、2022年2月25日時点でロシア生産を継続している。ただし「経済制裁の影響で(欧州などからロシアに)輸入する部品の代金を支払えなくなれば、影響が生じかねない」(国内自動車メーカー関係者)と警戒感は強まっている。

トヨタはウクライナ販売首位で、売れている車種の1つが「カローラ」である。写真は日本仕様。(出所:トヨタ自動車)
トヨタはウクライナ販売首位で、売れている車種の1つが「カローラ」である。写真は日本仕様。(出所:トヨタ自動車)
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 トヨタはウクライナの販売店で営業を停止している。同国の販売シェアは首位だが年間約2万台にとどまる。トヨタの世界販売の1%に満たない水準である。トヨタ以外の日系各社については年間数百~数千の販売台数にすぎない。またウクライナに工場を有する日系完成車メーカーはない。

 一方、ロシアにはトヨタや日産自動車、マツダ、三菱自動車が工場進出している。ただ現時点で工場稼働を停止しているメーカーはない。

 トヨタのロシア・サンクトペテルブルク工場は稼働中である。トヨタの販売台数は年間約12万台に達し、それなりの規模だ。現地の従業員数は22年2月時点で約2600人に達し、トヨタからの出向者は26人いるが全員がロシアにとどまっているという。ただしロシアへの経済制裁の影響による「部品供給網(サプライチェーン)の状況は分かっておらず、状況を注視している」(トヨタ)という。

 日産自動車もサンクトペテルブルクに工場を有し、稼働を継続している。ロシアの駐在員についても「国外退避していない」(日産)という。

 マツダは、ロシア・ウラジオストクに工場がある。現時点で工場は通常操業、販売店は通常営業しているという。工場にはマツダから3人、販売店には2人が出向中だが、現地従業員を含めて、退避勧告は出していない。

 三菱自動車は、ロシアのカルーガ州に欧州Stellantis(ステランティス)との合弁工場がある。「生産状況などは現在確認中、駐在員もいるが退避指示はしていない」(同社)という。

 なおホンダはロシアに工場はない。販売についても現地法人は残っているものの、撤退を表明している。

 商用車メーカーもロシアに進出しており、一部メーカーに影響が出ている。三菱ふそうトラック・バスはロシアに工場を持たず、親会社の独ダイムラートラックとロシア商用車大手KAMAZ(カマズ)との合弁会社がロシア国内の工場において、三菱ふそうのトラック「キャンター」を生産していた。ダイムラートラックが2月28日にロシアにおける全事業の一時停止を決めたことで、合弁工場におけるキャンターの生産も止まった。工場建設中の日野自動車は、販売店での通常営業を続けている。

 自動車に関わる資源面では、エンジンの排ガス触媒に用いるパラジウムの影響がささやかれる。ロシア産が世界シェアの4割を占めるとされる。

 ただし東海東京調査センターの杉浦誠司氏は、当面の影響は限定的と見通す。「そもそも価格変動が激しい上に近年急騰していたことがあり、今回は意外なほど上昇ペースが鈍い」(同氏)とみる。

 背景にあるのが、半導体不足による自動車生産活動の回復が遅れていることだ。パラジウムの需要がしばらく増えにくいとみることに加えて、昨今のサプライチェーンの混乱により自動車メーカーがパラジウムの在庫を積み増していたという。