パナソニックは、新型の車載用円筒形リチウムイオン電池(LIB)「4680」を和歌山工場で23年度中に量産開始する予定であることを発表した(図1)。和歌山工場おいて、建屋を改修するとともに、原動設備と生産設備2ラインを設置して4680の生産性を検証したうえで量産に入る。
4680は、直径46mm×長さ80mmの円筒形電池。電気自動車(EV)向けに米Tesla(テスラ)と共に開発を進めているものである。
テスラは、「Roadster」「モデルS」「モデルX」には、直径18mm×長さ65mmの「18650」を、「モデル3」「モデルY」には、一回り大きい直径21mm×長さ70mmの「2170」を採用している。
テスラによれば、4680では、2170からさらに体積を増やすことで正極・負極の活物質の割合を高め、重く高コストな外装のアルミニウム合金の使用量を相対的に減らせる。加えて、集電体から電気を取り出す電極タブをなくす「タブレス」構造とすることで、集電体とタブを接合する溶接工程を省くことが可能になる(図2)。同社はこれらによって、電池のコストを14%低減できると見積もっている。
パナソニックは現在、国内の複数の拠点で4680の製品開発を進めている。今後は、4680の本格的な生産に向けて、「モノづくり開発」を段階的に実施していく計画とする。