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 東レエンジニアリングDソリューションズ(東京・中央)は2022年3月23日、樹脂部材の成形時に発生する反りなどの変形を設計段階でシミュレーションするソフト「PD Advisor」の新版「PD Advisor 3.0」を発表した。発売は4月で、価格は150万円(税抜)から。

3D-CADで作成した3DモデルのデータをPD Advisor 3.0に読み込んで●材料を選択すれば解析を実行。反り変形している部分を変形度合いに応じて色別に表示する。さらに反り変形を抑制するのに効果的な部分と変更すべき肉厚を計算し、PD Advisor 3.0が自動で肉厚を変更して再計算。反り変形が抑えられる結果を確認できる。(出所:東レエンジニアリングDソリューションズ)
PD Advisor 3.0による反り変形の解析結果
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 樹脂部材の成形時の変形を予測し、その予測を踏まえて変形対策を提案する機能を持つのが特徴。同社によると、「成形時の変形を予測するシステムは従来もあったが、予測を踏まえて変形対策を提案する機能を持つソフトは大手樹脂CAEメーカーで初めて」という。

 製品設計段階で変形(反り)の発生を予測することで、後工程の生産技術部門での手戻りを軽減。設計から生産技術、製造とスムーズで効率的なワークフローを構築できるとする。

簡単操作でほとんどの3D-CADデータを取り扱える

 操作は簡単だ。金型内のスプルーやランナー、ゲートの設定などは不要で、3D-CADで作成した3DモデルのデータをPD Advisor 3.0に読み込んで、プルダウンメニューから「PP」「PBT」「ABS」など材料名を選択するだけ。解析を実行して反りが発生する箇所を変形度合いに応じたカラーコンターで表示する。ユーザーは、その結果を基にPD Advisor上でリブを付加するなどの形状変更を加え、再度シミュレーションして確認すればよい。反りを抑制するための設計変更箇所と変更すべき肉厚を提案する機能も備える。PD Advisor 3.0が自動で肉厚を変えた対策案を提示した上でシミュレーションを実行するので、ユーザーはそれを確認するだけだ。

PD Advisor 3.0による解析から再計算までの流れ
PD Advisor 3.0による解析から再計算までの流れ
(出所:東レエンジニアリングDソリューションズ)
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 ただし、自動で肉厚修正案を提示する際は外観などの意匠に影響するかどうかを考慮しないため、「PD Advisor 3.0で肉厚を変更したデータを直接3D-CADに戻すのではなく、肉厚を変更する部分とその厚みを参考にして3D-CADのデータを変更するという使い方を想定している」(同社)。

 「AutoCAD」や「NX」、「CATIA」など主だった3D-CADのファイルや汎用ファイルに対応。薄板製品だけでなく、コネクターなど肉厚の差が大きい部品でも適用できるという。なお、炭素繊維強化樹脂を材料とする製品の設計でシミュレーションしたいという需要もあるが、「繊維の配向による変形は考慮していないので、繊維強化樹脂材の設計でのシミュレーションには推奨していない」(同社)という。