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 KDDI総合研究所や東北大学、住友電気工業、古河電気工業、NEC、オプトクエストは2022年3月28日、海底ケーブルの通信容量を大幅に拡大する技術を開発したと発表した。既存海底ケーブルの最大容量クラスの約7倍に相当する1.74ペタビット/秒まで容量を拡大できるとする。今後、量産化や運用保守の技術開発を進め、「25年以降の実用化を目指す」(KDDI総合研究所主席研究員の森田逸郎氏)という。

 新たに開発した技術は、一芯の光ファイバーに光の通り道を複数設ける「マルチコアファイバー」を採用することで大容量化を実現した。これまで海底ケーブルに使われてきた光ファイバーは、光の通り道が一つの「シングルコアファイバー」を採用していた。

 NECらは同社子会社のOCCや住友電気工業とともに、一芯当たり光の通り道を4つ設けたマルチコアファイバーを、32芯収容した海底ケーブルを開発した。この海底ケーブルは約3000kmの伝送で、通信容量を1.74ペタビット/秒程度まで拡大できることを確認したという。米Google(グーグル)が敷設した「Dunant」と名付けられた24芯採用の海底ケーブルは現行最大クラスと言われており、通信容量は0.25ペタビット/秒である。新たに開発した技術は、これと比べても約7倍の大容量となる。

アジア圏をカバーできる3000km級の海底ケーブルで1.74ペタビット/秒の大容量通信を実現
アジア圏をカバーできる3000km級の海底ケーブルで1.74ペタビット/秒の大容量通信を実現
(図:KDDI総合研究所)
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 現在、超高精細映像やビッグデータなどにより世界中の通信が急増しており、国際通信の回線需要が「10年後には15倍から30倍に増加する」(森田氏)と言われている。海底ケーブルの通信容量拡大が求められてきた。

 これまで海底ケーブルの容量拡大は、シングルコアファイバーを多く束ねるという、多芯化のアプローチがメインだった。だがここに来て「現行の海底ケーブルの光ファイバーの芯数は既に最大48芯まで増えており、海底ケーブルや中継器の大きさを考えると、これ以上芯数を増やすのは難しい」(森田氏)という状況になった。そこで、1本の光ファイバーの太さはそのままに、光の通り道であるコア数を増やす、マルチコアファイバーの研究開発に取り組んだ。

 長距離伝送を可能にするために伝送性能も高めた。今回開発したマルチコアファイバーを使って長さ15kmの伝送試験を実施したところ、1550nmの波長を使った場合で、1km当たりの伝送損失は0.155dBと小さく抑えられた。マルチコアファイバーで課題となる、複数コア間の信号干渉(クロストーク)も抑えられているという。

マルチコアファイバーを用いた海底ケーブルのプロトタイプ
マルチコアファイバーを用いた海底ケーブルのプロトタイプ
工場試験タンク内のマルチコアケーブルの様子。(写真:NEC)
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