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 米Qualcomm(クアルコム)は2022年3月24日(現地時間)、3GPPが標準化のステージ3に相当する機能仕様を凍結(システム設計を完了)させたばかりの「リリース17」を解説するブログを掲載した。これまでの5G機能を強化すると同時に、あらゆるものを5Gにつなぐための新機能追加もある。以下はその概要となる。

(出所:Qualcomm)
(出所:Qualcomm)
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関連ブログ: Just in: 3GPP completes 5G NR Release 17

5Gシステム機能強化

 リリース17では、5Gシステムの基本機能をさらに強化。容量、カバレッジ、遅延時間、電力、モビリティーなどに対して、次のような改善を行っていく。

(出所:3GPP)
(出所:3GPP)
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  • massive MIMO:multi-TRP(複数送受信ポイント)やマルチビーム制御、SRS(Sounding Reference Signals、伝送路品質測定用参照信号)のトリガリング/切替、CSI(Channel State Information、伝送路状態情報)測定/報告機能改善を含む強化を行う
  • カバレッジ強化:サブ7GHzやミリ波、非地上ネットワークなどを対象に、反復回数増加による信頼性向上や、複数送信、周波数ホッピングを含めた伝送路推定機能強化などにより、上りリンク時カバレッジを改善する
  • 端末の省電力化:不必要なページング(基地局からの呼び出し)受付を減らし、無線接続時手続きを簡素化することで、動作モード時やアイドル時/非アクティブ時の省電力化を実現する
  • 周波数拡張:ミリ波周波数の対応領域を既存の24.25G~52.6GHzから71GHzにまで拡張。免許不要の60GHz帯にも対応する
  • IAB強化と中継器の簡素化: IAB(Integrated Access/Backhaul、無線アクセスネットワークと無線バックホール統合)を強化し、空間的に分離された全二重通信をサポート。IABと簡素化した中継技術による、サブ7やミリ波でのコスト効率の高い5G展開を実現する
  • URLLC拡張とプライベートネットワーク:IIoT(産業向けIoT)など要件の厳しいアプリケーションに向けてURLLC(Ultra-Reliable, Low-Latency Communication、超高信頼低遅延通信)を機能拡張。物理層からのフィードバック改善、免許不要周波数帯との互換性強化、施設内機器の多重化、優先順位付けなどを行う

新しい5G機器・アプリケーション向け機能

 身の回りのあらゆるものをつなぐという5Gのビジョンに向けて、いろいろな機器類やアプリケーションに向けたシステム最適化対応を行う。

  • 機能縮小機器対応(RedCap、NR-Light):センサー、ウエアラブル、ビデオカメラなど、複雑性の低いIoT機器類の効率的なサポートに向け、サブ7(7GHz未満の周波数帯)やミリ波での帯域幅100MHzレベルのワイドバンド5G NR設計に加えて、20M~100MHzに縮小した帯域幅対応も行う。また、n77、n78、n79、n41など多くのサブ7で、通常4基必要な受信用アンテナ数を1~2基にまで削減。さらなる省エネ化、他の5G NR機器との共存も可能にする。
  • 非地上系ネットワーク(Non-Terrestrial Networks、NTN):衛星通信での5G NRをサポートし、CPE(顧客構内設備)に向けたバックホールや端末への直接低速データ通信サービスを提供。衛星通信を使ったeMTC、NB-IoT運用も進める。
  • Sidelinkの拡張:リリース16で定めたC-V2X の5G PC5(車車間、路車間など近距離直接通信)を基に、リソース割り当ての最適化や省電力、新周波数サポートなどを行う。公共安全やIoTなど、新たなユースケースへの展開も行う。
  • 高精度ポジショニング:センチメートルレベルの精度など、より要件の厳しいユースケースに向けた機能強化を進める。ポジショニング時の待ち時間短縮、効率化、GNSS(Global Navigation Satellite System、全球測位衛星システム)を活用した性能改善などを行う。
  • ブロードキャスト/マルチキャスト:ブロードキャストやさまざまなモードでのマルチキャストをサポートする。6/7/8MHzのキャリア帯域幅での単独ブロードキャストやブロードキャストとユニキャストの同時/動的切替による5G NRマルチキャストなどの定義を行う
  • XR :さまざまなタイプのXR体験に向けた調査、検証を進める。XRに必要な通信の要件定義や評価方法を定義し、リリース18で改善すべき領域を見極めるための性能評価を進める

その他の機能強化

 リリース17では、上記に加えて、LTEと5G NR、または2つのNR基地局を使ったデュアルコネクティビイティーやマルチSIMのサポート、高次変調(Higher-Order Modulation)、小規模データ伝送(Small Data Transmission)、体験品質、データ収集、RANスライシングなどについても機能強化を行う。

今後の対応について

 今後リリース17では、3カ月後のASN.1凍結(実装に向けたプロトコル凍結)に向けた作業を行う。また、未来の6Gに向けた5G Advancedの最初の標準仕様となるリリース18の検討も開始する。

(出所:3GPP)
3GPPの5G、5G Advanced、6G仕様標準化に向けたスケジュール
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 Qualcommは、リリース17に関するWebセミナーも開催しており、その資料は下記からダウンロード可能となっている。

関連Webセミナー資料: 3GPP Release 17: Completing the first phase of the 5G evolution