JFEエンジニアリングとNTTドコモは2022年3月30日、実プラント環境で5G(第5世代移動通信システム)を活用した新たなサービスを実証できる設備「5G Innovation Plant」をオープンした。将来のプラントは無人化や省人化が進むというビジョンのもと、施設内にNTTドコモの5Gサービスと、JFEエンジニアリングが免許取得したローカル5G、Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)という3タイプの高速無線環境を用意。これらの通信環境を活用し、プラント内でドローンやロボットの遠隔操作をしたり、AI(人工知能)による監視などを実証したりできるようにした。同施設は、両社の取り組みに賛同する幅広い企業に無償開放する計画だ。
実証環境は、JFEエンジニアリングの横浜本社構内(横浜市鶴見区)に構築した。現在は使われていないJFEエンジニアリングのゴミ焼却用プラントを再利用した。高さ12〜13m、15m×20mの建屋には、縦横無尽に配管が張り巡らされ、武骨な鉄製階段が目立つという典型的なプラント施設だ。
このプラント施設に、ローカル5Gのアンテナ8台、NTTドコモの5Gサービスのアンテナ11台、そしてWi-Fi 6のアンテナ2台という潤沢な高速無線環境を用意。ユースケースに応じて最適な無線環境を試せる。
この日、報道陣に公開したデモでは、ドローンを活用したプラント内の無人点検や、立ち入り禁止エリアに人が侵入した場合、AIによる映像解析によってアラートを通知するようなユースケースを披露した。
実証施設は「将来のプラントを変革するソリューションを生み出すことに賛同する技術を持った企業ならば、どこでも無償で利用できるようにしていきたい」(JFEエンジニアリング制御技術センターセンター長の小山建樹氏)とする。
22年度に実証を進め、そこで得た知見をもとに、プラントを無人化・省人化するソリューションを23年度に出していきたいという。
JFEエンジニアリングとNTTドコモは21年11月、5Gを活用しプラントを無人化・省人化するソリューション創出を目的に包括提携することを発表済み。今回の実証設備オープンはその一環となる。