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 ホンダやスズキ、ENEOSホールディングスなど5社は2022年3月30日、電動2輪車の電池シェアリングサービスを手がける新会社を共同設立すると発表した。22年4月1日に設立し、同年秋ごろから東京などの大都市圏でサービス開始を予定する。「将来的には2輪車だけでなく、小型電気自動車(EV)などへの展開も視野に入れている」(ホンダ)という(図1)。

図1 新会社「Gachaco(ガチャコ)」を設立
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図1 新会社「Gachaco(ガチャコ)」を設立
まずホンダが開発する電池や電池交換ステーションを基に提供を進める。(出所:Gachaco)

 電池「交換式」は乾電池のように電池を入れ替えることで、これまで電動2輪車やEVで課題だった充電の手間をなくせる仕組み。例えば、ホンダが開発する「Mobile Power Pack e:」は数秒で充電済みの電池に交換できる(図2)。

図2 ホンダの「Mobile Power Pack e:」
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図2 ホンダの「Mobile Power Pack e:」
着脱することで交換可能な電池。ホンダは電動2輪車だけでなく、将来的には小型EVなどにも応用先を広げる見込みだ。コマツが国内でレンタルを開始する電動マイクロシャベル「PC01E-1」にも採用されている。外形寸法は高さ298×奥行き156.3×幅177.3mmで、質量10.3kg。定格容量は26.1Ah。(出所:ホンダ)

 一方で、これまでは規格の共通化が普及の壁になっていた。電池の仕様が乱立すると、開発・製造コストが増加したり、インフラ整備が困難になったりといった課題があるからだ。規格を共通化すれば、2輪車メーカーなどが電池交換式に対応した製品を造りやすくなり、低コスト化につながる。

 ホンダやスズキ、カワサキモータース、ヤマハ発といった2輪車メーカーの4社とENEOSが新会社を設立するのも、この課題を解決するためだ。新会社「Gachaco(ガチャコ)」は、まずは電動2輪車向けに共通化した電池を提供したり、インフラ整備を促進したりする。電池や交換ステーションを参画企業で共有することで、同方式が普及しやすい土壌づくりを目指す。

 Gachacoの従業員は現状、ENEOSとホンダの出身者で構成しており、両社が主導していく考えだ。出資比率はENEOSが51%で、ホンダが34%。他の3社も5%ずつ出資するものの、ENEOSとホンダが大部分を占める。GachacoでCEO(最高経営責任者)を務める渡辺一成氏はENEOS出身である。

 サービスに使う電池は、ホンダのMobile Power Pack e:を採用した。現状、2輪車向けでは同社製品のみに対応しているが、今後はスズキやカワサキ、ヤマハ発の2輪車などにも搭載できるようにする模様だ。ただ、「対応製品を量産するかは現状未定。他社と調整しながら軌道に乗せていきたい」(スズキ)という。

 専用の電池交換ステーション「Mobile Power Pack Exchanger e:」は、ENEOSのガソリンスタンドや駅前などに設置する。劣化した中古電池は商業施設や住宅向けの定置型電池や、街路灯などに再利用したい考えだ。渡辺氏は「22年度に200台、23年度に1000台へのサービス提供を目指す」と意気込む。

 交換用電池のMobile Power Pack e:は外形寸法が高さ298×奥行き156.3×幅177.3mmで、質量10.3kg。定格容量は26.1Ah。同電池に対応するホンダの電動スクーター「BENLY e: I」は、1回の充電で87km走行できる。

 ホンダは今後、同電池をさまざまなモビリティーや商業施設向け蓄電池などに展開することで、普及を促進していく狙いだ(図3)。1例がコマツと共同開発した電動マイクロシャベルで、22年3月29日に発表した。ホンダによれば、同電池を「2輪車以外で対応製品が市場導入されるのは、今回が初めて」である。

図3 ホンダが21年に展示した電池交換式の電動3輪タクシー
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図3 ホンダが21年に展示した電池交換式の電動3輪タクシー
2輪車などを手がけるインドTORK Motors(トルクモータース)が開発した「E-AUTOリキシャ」。ホンダは同製品を活用し、22年前半にインドで電池シェアリングサービスを開始するとしている。(撮影:日経クロステック)