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 TDKは、車載Ethernetの静電気放電(ESD)保護に向けた電子部品のバリスタを発売した ニュースリリース 。特徴は、OPEN Allianceが定めた車載Ethernet規格に準拠したことである。「同規格をクリアしたバリスタの製品化は業界初」(同社)という。具体的な応用先は、ADASや自動運転などに向けた電子制御ユニット(ECU)である。

車載EthernetのESD保護に向けたバリスタ
車載EthernetのESD保護に向けたバリスタ
(出所:TDK)
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 新製品は、伝送速度が100Mビット/秒の車載Ethernetに向けたESD保護部品の規格「OPEN Alliance 100BASE-T ESD Device Spec Ver.2.0」に準拠する。この規格をクリアしない部品を使うと、パケットエラーなどの不具合が発生する恐れがある。同規格では4つの特性を規定している。その内訳は、「Mixed Mode S-parameter」「Damage From ESD」「ESD Discharge Current Measurement」「RF Clamping」である。

 同社は、OPEN Alliance規格が策定される以前の2017年に、車載Ethernetに向けたESD保護部品(以下、従来品)を市場投入している。ただし従来品は、4つのうちのMixed Mode S-parameterとDamage From ESDをクリアしておらず、OPEN Alliance規格準拠ではない。OPEN Alliance規格に準拠するには、ほかのESD対策部品と組み合わせる必要があった。一方、今回の新製品は4つすべてをクリアしており、追加の部品がなくともOPEN Alliance規格に準拠する。

 新製品において新たにクリアしたMixed Mode S-parameterは、ディファレンスモードの信号成分がコモンモードの信号成分に変換される量を示すSパラメーター(Ssd21)が制限値を下回ることを求めたもの。新製品では、バリスタの静電容量のズレ(公差)を4.7pF±0.57pFに抑えることで制限値以下に抑えた。「金属電極の印刷精度を高めることなどで公差を抑えた」(同社)。同社従来品は公差が4.7pF±1.0pFと大きかったため、制限値を超えてしまっていた。

「Mixed Mode S-parameter」をクリア
「Mixed Mode S-parameter」をクリア
バリスタの静電容量のズレ(公差)を±0.57pFと小さくすることで、Sパラメーター(Ssd21)を制限値(リミットライン)以下に抑えた。(出所:TDK)
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 一方、Damage From ESDは、ESDによる過大な電圧が印加された後のSパラメーター(Sdd11)の変動分を制限範囲に収めることを求めたもの。「Sdd11は、電圧印加後の容量減少で変動する。新製品ではセラミック材料(酸化亜鉛、ZnO)に混ぜる添加物を最適化して容量減少分を少なくし、Sdd11の変動分を制限範囲に収めた」(同社)。

「Damage From ESD」をクリア
「Damage From ESD」をクリア
ESDによる過大電圧を印加した後の容量減少分を少なくすることで、Sパラメーター(Sdd11)を制限範囲(リミットエリア)に収めた。(出所:TDK)
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 新製品の型番は「AVRH10C101KT4R7YA8」。ESD耐圧は、接触放電モデルで±25kVを確保した。最大許容回路電圧は+70V。バリスタ電圧は最小値が+100V。標準値が+115V。外形寸法は1.0mm×0.5mm×0.5mm(いわゆる1005サイズ)と小さい。使用温度範囲は−55〜+150℃。車載用受動部品の品質規格「AEC-Q200」に準拠する。すでに量産出荷を始めている。参考単価は16.5円(税込み)である。

 今後同社は、最大データ伝送速度が1Gビット/秒と高い車載Ethernetに向けたバリスタを製品化する予定である。