日産自動車は、2028年度の実用化を目標としている全固体電池に、固体電解質として硫化物系のLGPS(リチウム・ゲルマニウム・リン・硫黄)を使う方向で進めている模様だ(図1)。22年4月8日に報道陣向けに開催した同社の全固体電池技術セミナーのQ&Aセッションの中で、常務執行役員総合研究所所長の土井三浩氏が明かした(図2)。
LGPSの1つであるLi10GeP2S12が高いリチウム(Li)イオン伝導度を示すことは、全固体電池の研究で著名な東京工業大学特命教授の菅野了次氏らが発見し発表している。もっとも、LGPSと言っても、その中にはいろいろな組成のものがあり、日産では採用するLGPSの厳密な組成については今後詰めていくとしている。
土井氏は、このセッションの中で次のように語っている。「(材料の)大きな種別は(総合研究所内の)ラボで固めて次のパイロットプラントに持っていく。パイロットプラントも、最終の本当の量産ではないので、恐らく生産設備としてパラメーターをいくつか振れるような形で幅を持った設備を入れていき、その中でいくつかファインなチューニングをしていくというフェーズはしばらく続くと考えている」。
日産では、24年度までに横浜工場内に全固体電池のパイロットプラントを設置する予定。そのパイロットプラントで量産試作するセルの、材料や設計、製造プロセスに関する仕様を検討するために、神奈川県横須賀市の総合研究所内に同セルの試作生産設備を設置している。同社は22年4月8日、この設備も初公開した(図3)。