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 住友ゴム工業は、トヨタ自動車が事業化を進めている材料解析クラウドサービス「WAVEBASE」の活用によって、ゴム材料の開発における解析時間を100分の1以下に短縮したと発表した(図1)。同サービスを継続して利用し、ビッグデータの効果的な解析を実現させて、高性能タイヤの開発につなげる狙い。

図1 ゴム材料の開発における「WAVEBASE」の活用イメージ
図1 ゴム材料の開発における「WAVEBASE」の活用イメージ
(出所:住友ゴム工業)
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* 住友ゴム工業のニュースリリース: https://www.srigroup.co.jp/newsrelease/2022/sri/2022_032.html

 WAVEBASEは、材料の研究・開発現場が抱える課題解決の支援を目的に、トヨタが開発したクラウドサービス。例えば、実験・計測で取得したデータの解析に労力と時間がかかる、解析技術が属人的になっている、データが複数の組織に点在している、といった課題に対応する。データの自動前処理・特徴量抽出とデータ管理基盤は、トヨタによるデータ活用コンサルティングを通じてカスタマイズできる。

 住友ゴム工業は、マテリアルズ・インフォマティクス(MI)による解析力の向上と、研究開発のデジタルトランスフォーメーション(DX)を目指して、WAVEBASEを採用した。導入に当たっては、同社が持つ知見をトヨタと共有し、ゴムの材料解析に特化したカスタマイズを進めた。20年6月から、トヨタと共同で実証実験を実施。先端研究施設から得られるデータの解析プロセスを効率化して、解析時間の短縮に成功した。

 同社はかねて、大型放射光施設「SPring-8」(兵庫県・佐用町)や大強度陽子加速器施設「J-PARC」(茨城県・東海村)、スーパーコンピューターなどを利用して、タイヤ用材料の研究開発に取り組んできた。それによって計測技術の進化や装置の高度化に伴って短時間で大量のデータを取得できるようになると同時に、材料中のわずかな変化に至るまでを余すことなく解析する必要性が高まってきたという(図2)。

図2:ビッグデータ化に伴う課題のイメージ
図2:ビッグデータ化に伴う課題のイメージ
(出所:住友ゴム工業)
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 同社は19年に、タイヤの使用前後の物性や構造変化を捉える技術「Tyre Leap AI Analysis」を開発している。さらに今回、WAVEBASEを導入し、トヨタとの連携によって材料開発のスピード向上に取り組んだ。今後も、最先端実験施設でのリアルタイム解析にWAVEBASEを活用する。併せて、実験に用いるさまざまな分析装置から得られるデータを統合し、ビッグデータとして解析して研究開発の効率向上と高速・省力化を図る。従来は気づかなかった着眼点を得て、同社の材料開発技術「ADVANCED 4D NANO DESIGN」を進化させ、さらに安全性能と環境性能を高めたタイヤの開発を目指すとしている。

* 19年10月18日付、住友ゴム工業のニュースリリース: https://www.srigroup.co.jp/newsrelease/2019/sri/2019_088.html