PR

 高効率エコヒートポンプシステムでは、車両前方の熱交換器に付着した霜(しも)を走行中でも除去できる機能(除霜機能)を世界で初めて搭載した。それにより、冬場の着霜環境における電費を大幅に改善している。霜の除去には、まずインバーターやモーターからの廃熱を利用し、それでも熱が不足する場合にはヒートポンプシステムによる暖房のための熱をまわすという。

 加えて、高電圧電気ヒーターの冷却などに使う「高温水回路」には3方向の流量調整弁を、電池やインバーター、モーターの冷却などに使う「低温水回路」には5方向の切り替え弁(5方弁)を採用し、よりきめ細かな制御を可能として高効率化を図っている(図6)。

流量調整弁
[画像のクリックで拡大表示]
5方弁
[画像のクリックで拡大表示]
図6 流量調整弁(左)と5方弁(右)
(出所:デンソー)

 さらに、高温水回路での流量調整弁の活用に加えて、圧縮機のオイル管理制御を見直すことで、冷凍サイクルのレシーバーサイクル化を実現し、冷房性能の向上や部品点数の大幅削減につなげている。

 レシーバーサイクルとは、通常のアキュムレーターサイクルでは蓄液器を蒸発器の直後に置くのに対して、凝集器の直後に置くようにしたもの。ヒートポンプシステムは、使用状況に応じて必要な冷媒量が変動する。これに対応するために、余分な冷媒をためておく蓄液器を冷凍サイクルの中に配置している。

 デンソーによれば、レシーバーサイクルの方が、冷媒をしっかりと蒸発させた状態で圧縮機に送れるため、冷凍サイクルを簡素化できるという。

 また、低温水回路の中では高性能で小型のチラーを利用することで、電池の冷却性能を高めて電池の長寿命化に寄与しているという(図7)。

図7 高性能で小型のチラー
図7 高性能で小型のチラー
(出所:デンソー)
[画像のクリックで拡大表示]

 最後の輻射ヒーターは、ヒーター表面からの輻射熱によって、乗員だけを効率的に温めるものだ。車室全体の温度を低めにできることから、エネルギー消費量の低減が可能となり、航続距離の延長に貢献する。

 約1分で100度以上に昇温して乗員の膝元を素早く温める機能と、ヒーター表面に人体が触れたらそれを検知して瞬時に表面温度を50度以下に下げる機能を盛り込んでいる。ヒーター表面に独自の配線構造を持った薄膜フィルムを適用することでそれを実現しているもようだ。