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 インターネットの接続性能評価サービス「Speedtest」を運営する米Ooklaは2022年4月13日(現地時間)、北米や中国、日本、韓国に比べて遅れが目立つ欧州の5G事情を解説したブログを公開した。同社のWebセミナー「Why is 5G in Europe Falling Behind and what can we do about it?」がベースになっている。

関連ニュースリリース: The Mixed Picture for 5G in Europe

 移動通信関連の業界団体GSMA(GSM Association)によると、欧州では、50カ国中34カ国が5Gを導入しており、通信事業者の半数以上(173社中92社)が5Gネットワークの立ち上げを完了している。しかし、総接続数に占める5G接続の割合は、2021年第4四半期時点で2.5%にすぎず、北米や中国、日本、韓国より低い状況にとどまっている。

欧州の5G接続率は北米や中国、日本、韓国より低い現状
欧州の5G接続率は北米や中国、日本、韓国より低い現状
(出所:Ookla)
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 欧州内の5G可用性(移動通信接続時間中の5G接続の割合)を見ると、トップはオランダで、2021年第4四半期にこの値が20%を超えたのは、欧州ではわずか6市場のみとなっている。ちなみに米国では、電波が届きやすい600MHz帯を利用する5Gサービスも展開するなどして、約50%の5G可用性を実現している。

世界27カ国の5G可用性比較
世界27カ国の5G可用性比較
(出所:Ookla)
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 オランダの通信事業者KPNのErik Brands氏によると、同社は2019年から国内ネットワークの近代化に着手。基地局のすべての機材をアップグレードし、使用可能な全ての周波数を活用すると同時にソフトウエア制御に切り替えた。電波が届きやすい700MHz帯の5Gも活用することで、農村部を含めた国内80%以上での5Gカバレッジを実現した。

 KPNは5G可用性で高い評価を得ているが、性能ではまだギガビットレベルに達していない。主な原因は、Cバンドの周波数帯が現在、英国の衛星通信事業者Inmarsatやその他のローカルライセンスに占有されていることにある。オランダでのこの周波数帯のオークション時期は明らかになっていない。KPNではミリ波を使った対応も検討しているが、同国ではこの周波数帯もまだ利用可能となっていない。

 英Three UKではデータ容量の不足が課題となっている。同社の契約者数は英国人口の約15%、英国の通信量の30%を占めている。5G周波数として3.3G~3.8GHz帯の連続した帯域幅100MHzを含む同140MHzを用意しており、ダウンロード速度も他の英国の通信事業者に比べて高速となっている。

英国の通信事業者の5G性能比較
英国の通信事業者の5G性能比較
(出所:Ookla)
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 顧客の要望に応えようと、Three UKでは全ての5G基地局の機材アップグレードを開始。60%の基地局にMassive MIMOを搭載し、Cバンドも活用して、農村部を含めた85~90%のカバレッジを実現した。残りの40%の基地局でも、DSS(Dynamic Spectrum Sharing、動的周波数供給)を使って4G周波数帯の一部を5G NRに利用する計画を進めている。

 KPNもThree UKも、老朽化したインフラなどへの対応に際して、いくつかの制約に直面している。用地の計画承認が得られても、議会から追加申請手続きを求められ、配備が遅れる事例もあると言う。4G/5G全ての周波数に対応する新基地局展開に向けては、行政の支援と計画プロセスの改革が必要としている。

 英Ofcom(Office of Communications、英国情報通信庁)のBrian Potterill氏も、規制当局や政府は、市場が効果的に機能できるよう、消費者や企業が5Gやさまざまなユースケースをどのように活用するかを理解し、情報ギャップの橋渡しをする役割を果たすべきだとしている。その上で、政府や規制当局は、目標を決定する立場として最適ではなく、EUが現在、加盟国の5G展開に向けて掲げている主要目標も再考すべきだと提言している。