PR

 川崎重工業は2022年4月20日、羽田空港に隣接する商業施設「羽田イノベーションシティ」(東京・大田)内に、主に協働ロボットの実証実験を行うための施設「Future Lab HANEDA」を開設した(図1)。同施設には、一般客が利用できるレストラン「AI_SCAPE(アイ・スケープ)」があり、利用客は同社のロボットが調理や配膳などの作業を行う様子を見学・体験できる。利用客からのアンケート調査などを通じて課題を抽出し、同社のロボット開発につなげる狙いだ。

図1 Future Lab HANEDAの外観
図1 Future Lab HANEDAの外観
同施設には、協働ロボットなどの実証実験が行えるレストラン「AI_SCAPE」と、同社のロボットを使って動作プログラムを確認するなど、スタートアップ企業や研究機関の開発を支援する施設「YouComeLab(ユーカムラボ)」がある。(出所:日経クロステック)
[画像のクリックで拡大表示]

 同日に開催された施設内覧会では、ロボットによる加熱調理や配膳、下膳のデモンストレーションを披露した。デモでは、はじめにレストラン利用客がスマートフォンを使い、QRコードをスキャンして料理を注文した。注文を受けると直ちに、厨房に設置された3台の産業用ロボット「RS007L」が作業を開始。あらかじめ調理された料理を電子レンジまたは湯煎で加熱したり、カトラリーを供給したりして、料理を準備した(図23)。

図2 ロボットが料理を準備する様子
図2 ロボットが料理を準備する様子
左のロボットは、あらかじめ調理された料理を電子レンジで加熱してトレーに載せる。右のロボットは、レトルト食品を湯煎し、レトルト食品を開封する別の装置にセットする。その後、容器に移されたレトルト食品を右のロボットがトレーに載せる。(出所:日経クロステック)
[画像のクリックで拡大表示]
図3 冷蔵食品やカトラリーをトレーに載せるロボット
図3 冷蔵食品やカトラリーをトレーに載せるロボット
(出所:日経クロステック)
[画像のクリックで拡大表示]

 次に、配膳ロボット(中国Pudu Robotics社の配膳ロボット「PuduBot」)が完成した料理を厨房から飲食エリアまで運び、そこから先は川崎重工業の人型自走ロボット「Nyokkey」が利用客に配膳した(図45)。デモでは、注文の受付から配膳までの作業をおよそ10分で完了した。食事が終わった後のトレーは、自走ロボットが下膳した。

図4 配膳ロボットから人型自走ロボット「Nyokkey」が料理を受け取る様子
図4 配膳ロボットから人型自走ロボット「Nyokkey」が料理を受け取る様子
配膳ロボットは、写真奥の厨房から飲食エリアまで運ぶ。そこから先は、人型自走ロボットが利用客まで料理を届ける。(出所:日経クロステック)
[画像のクリックで拡大表示]
図5 人型自走ロボットが利用客へ料理を配膳する様子
図5 人型自走ロボットが利用客へ料理を配膳する様子
(出所:日経クロステック)
[画像のクリックで拡大表示]

 レストランのサービスを体験した利用者に話を聞くと、「人が料理を扱わないので新型コロナウイルス感染症の感染を防止する観点からも安心できる」という好意的な意見がある一方で、「人型自走ロボットの動きが遅い」「料理が運ばれてくるのに思ったより時間がかかった」といった不満の声も聞かれた。

 同社執行役員の高木登氏は「普段ロボットに触れ合わない利用客だからこそ、当社が想定できない声が得られるだろう」と、協働ロボットの普及に向けた開発の加速に期待を寄せた。今後は、利用客からの意見を取り入れ、随時、店内ロボットのアップデートを実施する。

 なお、レストランの営業自体は外部業者に委託。同社グループ会社のカワサキロボットサービス(兵庫県明石市)の社員が常駐して、ロボットのメンテナンスなどを請け負う。

 新たな実験施設には、同社のロボットを使って動作プログラムを確認するなど、スタートアップ企業や研究機関の開発を支援する施設「YouComeLab(ユーカムラボ)」も併設する。事前の打ち合わせで目的や実験内容を確認した上で、「誰でも無償で施設を利用できる」(高木氏)という。

 同社代表取締役社長執行役員の橋本康彦氏は「ロボットは高齢化や人手不足など、労働環境が抱える多くの課題を解決できる。しかし、ロボットを利活用した社会を、当社のみで実現するのは難しい。当社の技術を他社とシェア(共有)する場や、(レストラン「AI_SCAPE」のように)実際にロボットを利用してもらえる場が必要だ」と、同施設の重要性について話した(図6)。

図6 同日に開催された開設式典に登壇した橋本氏
図6 同日に開催された開設式典に登壇した橋本氏
(出所:日経クロステック)
[画像のクリックで拡大表示]