「2025年以降、メタバース経済圏が確立していく」。PwCコンサルティングの馬渕邦美マネージングディレクターは2022年4月20日、「東京デジタルイノベーション 2022」(日経BP主催)に登壇し、こう断言した。馬渕氏はFacebook Japanの元執行役員で在任中にインスタグラムの事業拡大をけん引するなど、デジタルビジネスの経験が豊富だ。2022年3月14日には仮想空間「メタバース」について関係者の情報共有やガイドラインの提言などを目指す一般社団法人Metaverse Japanを立ち上げ、共同代表理事に就任した。

「東京デジタルイノベーション 2022」に登壇したPwCコンサルティングの馬渕邦美マネージングディレクター
「東京デジタルイノベーション 2022」に登壇したPwCコンサルティングの馬渕邦美マネージングディレクター
撮影:日経クロステック
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 契機は「ハードウエアの革命だ」と馬渕氏は言う。2025~26年に普及型のVR(仮想現実)グラスが登場すると予測されている。現時点ではVRのHMD(ヘッド・マウント・ディスプレー)はその大きさや重さから長時間装着することが難しい。VRの再現装置が眼鏡やスマートフォンのように小型化・軽量化することで「どこでもVR空間を見られる状況になり、リアル空間とデジタル空間が融合していく。デジタル空間で主に生活し、リアル空間にあまり出てこない人たちも出現するだろう」(馬渕氏)。

 2030年ごろの商用化が見込まれる「6G(第6世代移動通信システム)」によって「5G(第5世代移動通信システム)」より一層の高速大容量通信が可能になることも、メタバース普及をさらに後押しするという。

 こうした技術の進化に伴い、「さまざまなメタバースが立ち上がる」と馬渕氏は予測する。「非代替性トークン(NFT)」を使って仮想空間上で不動産を取引したり、アバター(分身)の衣装を購入したり、ゲームで生活費を稼いだりといった「メタバース経済圏」が成立していくとみる。

 「2025年までの約3年はメタバースのブームは収束したように見える時期もあるかもしれないが、2025年以降は間違いなくメタバースの経済圏が確立していく」と馬渕氏は語る。メタバース時代の到来に備えて、NFT取引のあり方など法制度や税制を整える必要があると強調する。