仲山貴金属鍍金(浜松市)は、ハス(ロータス)の葉が水をよくはじく性質「ロータス効果」を利用した、はっ水めっき技術を「Medtec Japan」(2022年4月20~22日、東京ビッグサイト)に出展した。同社ブースのデモンストレーションでは、赤く着色された水滴が、はっ水加工した板の上をまるでボールのようにバウンドしながら転がり落ちる様子を披露した(図1)。
同社は湿式の電解金属めっきにおいて、めっき液の組成を工夫して、めっきの成長過程で水滴が入り込めない0.1~10μmほどの小さな凹凸を作る技術を静岡県工業技術研究所と共同で開発(図2)。その凹凸のあるめっきの表面に、さらに10~100nmほどの厚みでフッ素(F)やケイ素(Si)系ポリマーをコーティングし、接触角150°以上の「超はっ水」(同社)を実現している。
めっきに使う金属は、用途に応じてスズ(Sn)、銅(Cu)、金(Au)の3種類から選べる。金属めっきなので、はっ水加工後も加工面に導電性を持つ。特に、AuめっきとSi系の化学修飾の組み合わせでは、導電性に加えて約400℃の耐熱性も持たせられる。
同社のはっ水加工は「基材(被加工物)の材質を選ばない」(同社代表取締役の仲山昌宏氏)のが特徴だ。金属めっきが向かない基材には、あらかじめ他の方法で凹凸加工を施した後、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などをコーティングして、同等のはっ水性を持たせられる。仲山氏は「あらゆる顧客の要求に最適な加工方法を提案できる」と胸を張る。
同社はまず、医療分野の分析装置などに、同めっき技術の展開を目指す。極少量の検体や試薬を分注する採取ノズル内壁にめっきを施せば、液残りによる分注精度の低下や、汚染物質の付着を防げる。