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 ドイツAudi(アウディ)は2022年4月25日、壊れたり廃車になったりした自動車のウインドーガラスを、量産車用にリサイクルするプロジェクトを始めたと発表した。ドイツのReiling Glas Recycling、フランスのSaint-Gobain Glass、Saint-Gobain Sekuritらとの共同プロジェクトとして、クローズド・サイクルの確立を目指す。

「Q4 e-tron」のガラス再利用クローズド・サイクル
「Q4 e-tron」のガラス再利用クローズド・サイクル
(出所:Audi)
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 現在、廃棄されるクルマのウインドーやパノラマルーフの大部分は、飲料ボトルや断熱材などに再利用されている。しかし、まだ量産車用ウインドーとして再利用する技術は確立されていない。アウディとパートナー企業は、衝突安全性などの要件が厳しい量産車のウインドーに再利用するため、多段階の再生プロセスを立案した。

ガラス以外の素材を分離する工程
ガラス以外の素材を分離する工程
(写真:Audi)
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 Reiling Glas Recyclingは、廃棄されたウインドーガラスを細かく砕いた後、磁石や非鉄金属選別機、抽出ユニット、電気的選別ユニットなどを使ってガラス以外の素材を分離する。具体的には合わせガラスに使われているPVB樹脂、窓枠の金属、曇り止め熱線ヒーター、アンテナ、コネクター、配線ケーブルなどである。

リサイクルガラス粉末の比率は30~50%
リサイクルガラス粉末の比率は30~50%
(写真:Audi)
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 次にSaint-Gobain Glassがガラス粉末を板ガラスに加工する。新しく板ガラスを作るには、純度の高い均質なガラス原料が必要となる。そのため、粉砕されたガラス粉末の出所や色を明確に確認しながら分別する。リサイクルガラス粉末は、新しいガラス材料である珪砂や炭酸ナトリウムなどと混ぜ合わせる。現在、材料に占めるリサイクル材の割合は30~50%だという。その後、3×6mの長方形の板ガラスを製作し、自動車用ガラスに仕上げる。

 Saint-Gobain Glassは、このプロジェクト以外も含めて、今後3年間で最大3万トンのリサイクルガラスを使う計画だ。これにより、CO2排出量と水使用量を削減する。試算では、1日当たり最大75トンのCO2排出量を削減できるという。

 パートナー企業3社は、今後1年間のパイロットプロジェクトを通じて、リサイクル材料の品質や安定性、コストについて調査する。経済的かつ環境的に有意義な方法でガラスをリサイクルできれば、リサイクルガラスを使ったウインドーを「Q4 e-tron」に採用する予定だという。

 アウディは循環型経済戦略の一環として、車両のライフサイクル全体で可能な限りリサイクル材料を導入することを目指している。これにより資源を節約し、バリューチェーン全体で環境への影響を低減する。