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 コマツ代表取締役社長兼最高経営責任者(CEO)の小川啓之氏は2022年4月28日、決算説明会で「現時点ではロシア市場からの完全撤退は考えていない」と語った。サービス活動や部品供給が停滞すると顧客の現場の安全性が担保できなくなり、「死亡事故などのリスクに直結する」(同氏)との懸念を示した。

コマツ代表取締役社長兼最高経営責任者(CEO)の小川啓之氏
コマツ代表取締役社長兼最高経営責任者(CEO)の小川啓之氏
(出所:オンライン会見をキャプチャー)
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 同社はウクライナ情勢に起因したサプライチェーンの混乱や、金融・経済の不透明な状況を理由に、同日時点でロシア向けの出荷とロシアでの現地生産を停止している。ロシアから完全撤退しない理由として小川社長は「メーカーとして、製造物責任(PL)法の責任を問われるリスクがある」ことも挙げた。

 さらに「ロシアには我々の従業員が代理店も含めると何千人といる。彼らの安全と雇用を守る責任がある」(小川社長)と語った。日本政府が定める輸出規制などに沿って、一部業務を縮小する可能性はあるものの、完全撤退は想定しない。

 23年3月期の連結業績予想(米国会計基準)は、ロシア向けの販売を22年3月末で現地在庫もしくは出荷済みとなっているものに限る前提で作った。23年3月期の建設機械・車両部門の売上高において、ロシアを含む独立国家共同体(CIS)地域向けの割合は2%になる見通し。22年3月期の同7%から縮小する。

 23年3月期の建設機械・車両部門はCISと、需要の反動減が見込まれる中国向けの販売が減少する一方で、北米やアジア、欧州向けの需要が業績をけん引する見通し。23年3月期の連結売上高は、過去最高だった22年3月期の2兆8023億円に対して7.1%増の3兆円を見込む。