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 リコーは2022年5月10日に開いた21年度通期の決算説明会で、電子部品やプラスチック材料などの部材の調達難の影響と見通しについて明らかにした。部材調達難により21年夏ごろから22年2月まで厳しい状況が続いて生産が低迷したが、3月以降は回復してきた。ただし「本当に安心できる状況になるのは夏以降」(コーポレート執行役員・CFOの川口俊氏)と見ている。

 21年度の部材調達は、第3四半期(21年10~12月)には第2四半期(同7~9月)と比べて7割程度の量になり、22年2月半ばまで厳しい状況が続いたためハードウエアの生産が落ち込んだ。22年3月以降は生産が回復基調にあり、主力製品については増産を達成でき、売り上げも回復した(図)。ただし、全製品の生産を通してみると第4四半期(22年1~3月)は第3四半期よりも低調だった。リコーは主力工場の1つが中国・上海にあり、目下のところ「新型コロナウイルス感染症拡大によるロックダウンで影響を受けているが、工場をできるだけ稼働させる施策を講じて挽回を図っている」(同氏)。

図 リコーが公表した国・地域別売り上げヒートマップ
図 リコーが公表した国・地域別売り上げヒートマップ
右端の2022年3月は回復を示す青色が目立つ。(出所:リコー)
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 22年度の見通しについては「第1四半期は厳しいが第2四半期から徐々に改善し、第3四半期から本格的に生産・販売ができるようになる」(同氏)と見ている。部材の調達について代表取締役社長執行役員・CEOの山下良則氏は「これまで設計・生産に関して1000点以上の代替品を評価してきており、どうしても代えが利かない部材はサプライヤーに供給をお願いするしかないが、そうでない(多くの)部材については相当めどがついてきた」と述べた。「そういう前提で夏ぐらいまでには調達についてほぼ復旧できるとみており、全部が(特定の)サプライヤー頼みではない」(同氏)という。

 21年度通期の決算は、売上高が1兆7585億円で前年比4.5%増、営業利益は400億円で前年の赤字から854億円改善した。部材調達難は生じたものの、通年では新型コロナ感染症拡大の一段落による需要増加や体質強化策、経費節減や資産売却などで利益を確保した。