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 IHI代表取締役社長最高経営責任者の井手博氏は2022年5月10日、同社の21年度決算説明会でウクライナ危機の影響について言及。ロシアでの事業の継続について、「判断するには時期が早い」としながら、「基本的には継続は難しいと見ている」(同氏)との見方を示した()。

図 決算説明会に登壇した井手氏
図 決算説明会に登壇した井手氏
(出所:日経クロステック)
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 同社の子会社であるロシアALPHA Automotive Technologies(アルファ・オートモーティブ・テクノロジーズ、AAT)は、プレス加工による自動車部品の生産を手掛け、製品を主にフランスRenault(ルノー)のロシア拠点に納めていた。

 ルノーは同年3月にロシア事業の一時停止を発表し、これに伴いAATも生産停止を余儀なくされた。ルノーの事業再開のめどが立たないことを考慮し、IHIは同年4月25日、AATの固定資産において減損損失を47億円計上したと発表している。今後の業績への影響についても、「判断には時間がかかる。ルノーの動きに注目しなければならない」(同氏)とした。

 一方、IHIの21年度実績は新型コロナウイルス感染症拡大の影響からの市況回復に加え、ライフサイクルビジネスへのリソース集中など、収益基盤強化の取り組みが着実に成果を上げ、前期比増収増益となった。純利益は660億円で過去最高と好調だった。

 22年度の研究開発費および設備投資額は、前期比およそ1.7倍の1240億円を計画し、その3割以上を成長事業の創出に当てる。井手氏は、これまでの成長事業創出の取り組みで生まれた技術の中でも、特に燃料としてのアンモニアを製造から利用まで手掛ける「アンモニアバリューチェーン」やメタネーション装置の製造などの「カーボンソリューション」については、「(事業化の)実現に近い技術だ」と意気込みをみせた。