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 日本電産は2022年5月11日、車載モーターなどに使う半導体の安定調達に向けて「半導体ソリューションセンター」を5月16日付で設立すると発表した(ニュースリリース)。半導体メーカーとの関係強化やサプライチェーン(供給網)の強靱(きょうじん)化を進める。将来は半導体の開発や製造委託を手掛けることで製品競争力を強化する考え。

図 半導体ソリューションセンターは中央モーター基礎技術研究所内に設立する
図 半導体ソリューションセンターは中央モーター基礎技術研究所内に設立する
(出所:日本電産)
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 半導体ソリューションセンターは、日本電産の中央モーター基礎技術研究所(神奈川県川崎市)内に設立する。大村隆司執行役員が同センターの所長に就任する機構改革も同日発表した。足元では新型コロナウイルス感染症の拡大や自然災害などで半導体不足の解消が遅れており、安定調達に向けたニーズが高まっている。

 モーターの制御や高機能化には半導体が不可欠で、永守重信会長兼CEO(最高経営責任者)は「(事業の拡大には)半導体の安定供給が極めて重要な課題だ」と述べる。日本電産は部品や部材の内製化で事業損失やコストを削減し、事業競争力を高める戦略を掲げている。

 半導体の開発から調達まで一貫した体制を構築することで、高効率・安全なモーターの開発につなげる。同社はモーターや減速機、インバーターを一体化した電動アクスル「E-Axle」を電気自動車(EV)向けに供給しており、今後の成長の柱と位置づける。関潤社長兼COO(最高執行責任者)は「(半導体の内製化で)E-Axleの『超垂直統合』が可能になる」と意気込む。

 日本電産の車載製品事業では、2022年1~3月期に半導体不足や原材料費の高騰を受けて営業赤字になるなど苦戦が続く。センターの設立を通して、車載製品事業のテコ入れを図る狙いもありそうだ。