スギノマシン(富山県魚津市)はセルロースナノファイバー(CNF)の製造技術を応用して、直径が7μm程度の「表面繊維化セルロース粒子」を開発した。表面を繊維化して比表面積を増やしたのが特徴で、各種溶媒への分散安定性に優れる。同社は開発品を水分散体として提供する(図1)。

図1 「表面繊維化セルロース粒子」の水分散体
図1 「表面繊維化セルロース粒子」の水分散体
濃度が25質量%の水分散体では、白色のペースト状になる(出所:スギノマシン)
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* スギノマシンのニュースリリース: https://www.sugino.com/soshiki/1/news220510.html

 開発品の比表面積は70m2/gで、市販のセルロース粉末や結晶セルロースの約20倍。乳化剤として用いれば、複数の種類が混合された油でも単純な攪拌(かくはん)混合で一斉に乳化できる。

 一般に、安定した乳化物を得るには、乳化剤の親水-疎水のバランス指標である「HLB」(hydrophile-lipophile balance)の値に合わせて乳化剤を選ぶ必要がある。また、油相は多数の油性成分から成ることが多いため、各物質の相溶性を見ながら段階的に乳化しなければならなかった。

 それに対して開発品は、油種を問わず強い乳化作用を持つ。5種類の油を等量ずつ配合した混合油を用意し、水:混合油=1:1の割合で混ぜた上で終濃度が3質量%になるように開発品を添加してミキサーで攪拌混合したところ、1カ月以上にわたって乳化状態を維持した(表、図2)。

表 使用した油種
表 使用した油種
(出所:スギノマシン)
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図2 混合油の乳化状態
図2 混合油の乳化状態
5種類の油から成る混合油を同量の水と混ぜて、終濃度が3質量%になるように開発品を添加した。写真左が混ぜた直後で、同右が1日経過したもの。開発品を添加したもの(中央)は、1日後も乳化状態を維持している。スギノマシンによる実験では、開発品は1カ月以上たっても乳化状態を維持していたという。(出所:スギノマシン)
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 水と油の割合が変わっても、開発品の添加濃度の調整によって安定した乳化を実現できる。油分を70%含む状態でも、粘度が低く流動性のある乳化物を得られる。さらに、高温環境下、高温/低温の繰り返し、塩濃度が0.1~5.0質量%と高い条件でも、開発品で調整した乳化物は分離せず、製造工程で発生する温度やイオンの影響を受けづらいという。

 開発品を濃度が25質量%の水分散体にした場合、外観は白色のペースト状となり、乾燥させて観察すると粒子表面に繊維状構造を確認できる(図3)。粒子のため分散液の粘度が低く、ハンドリングしやすいのも利点。200rpmのプロペラ攪拌によって5~10分間混合するだけで、均一な分散が可能とする。

 複数混合油の一斉乳化の他、充填結合剤などCNFとは異なる用途への展開が期待できる。シリコーンエマルジョン(シリコーンオイルなどを水中に分散させた製品)や研磨剤の代替、化粧品、エマルジョン製剤、エマルジョン燃料、塗料、接着剤、農薬といった用途を想定する。

図3 開発品の電子顕微鏡画像
図3 開発品の電子顕微鏡画像
濃度が25質量%の水分散体を乾燥させて観察すると、表面に繊維状構造を確認できる。左は倍率500倍、右が1万倍の画像。(出所:スギノマシン)
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 同社は開発品を、「セラミックスジャパン」(2022年5月11~13日、インテックス大阪)に出展した。