ツキオカフィルム製薬(岐阜県各務原市)は、同社が手掛ける可食フィルムの製造技術を応用した包装フィルムの試作品を、「第10回 関西高機能素材Week」(2022年5月11~13日、インテックス大阪)に出展した(図1)。
可食フィルムとは、セルロースやでんぷん、ゼラチンなどの食品素材を基に造られた水溶性のフィルム状食品。同社のゼラチン系の可食フィルムは、口の中で素早く溶ける特徴が評価され、かつて口臭予防製品に採用されるなどヒットした(図2)。しかし、「コロナ禍による飲み会の減少などを背景に販売数が減った」(同社)。そこで、その技術を応用して同社が開発したのが包装用フィルムだ。世の中の環境意識が高まる中、プラスチックフリーの包装材として新たな用途開拓を図る狙いがある。
新たに試作した包装フィルムは、包装資材として使えるようにゼラチンよりも強度があるセルロースを主原料としつつも、溶けやすさと強度を両立できるよう膜厚30μmまで薄くした。無色透明で、水によく溶け、もちろんそのまま食べられる。同社は応用先として入浴剤や食品の個包装を想定する。そのまま浴槽やなべに投入しても溶けるため、「プラスチックゴミの削減につながる」(同社)。
フィルムの原料を変えれば、溶けやすい温度帯や溶解時間*を調整できるという。例えば、セルロース系は40℃ほどの水に最も溶けやすく、水へ投入してから約10秒でバラバラに崩れ、100秒ほどで完全に溶解する(図3)。一方、多糖類系は温度が高いほど溶けやすい特徴を持つ。「用途に応じて最適なフィルム原料を提案できる」(同社)。
同社の試験において、バリアー性能はセルロース系フィルムでは水蒸気透過度が150~160g/(m2・day)程度、酸素透過度は150mL/(m2・day・MPa)程度である。ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムのそれぞれ約40g/(m2・day)、約110 mL/(m2・day・MPa)と比べて「やや劣るレベル」(同社)。要望があれば、サンプルを提供できるという。