UDトラックス(埼玉県上尾市)は2022年5月12日、設計の自動化と、製品データのスマート工場や顧客サービスへの利用を含む、技術関連業務の全面的なデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進すると明らかにした(図)。PLM(製品ライフサイクル管理)システム供給のPTCジャパン(東京・新宿)と共同で発表した。既に3D-CADと設計データ管理のシステムを導入して運用を始めており、今後さまざまな業務へデータの適用範囲を広げていく方針。
UDトラックスが手掛ける商用車はカスタマイズの要素が強く、顧客によって仕様が異なった製品になるため、出荷後のサービスも異なった対応が必要になる。設計段階で作成した個々の仕様のデータを生産、サービスにまで利用して、一律でない業務を誤りなく効率的に進める狙いとみられる。
3D-CADではエンジンとボディーについて自動設計を進める。仕様を基に部品形状データを短時間に生成するとともに、所定の位置関係で組み立てて3Dの製品データとする。これをPLMシステムで管理し、メンテナンスカタログやパーツカタログ、サービスマニュアル、整備手順情報、サービス用部品表などの形で関連部門や顧客に提供する。AR(拡張現実)によって生産とサービスの現場での作業手順の検討や作業指示にも適用する考え。工場にも3D製品データを供給するとともに、IoT(Internet of Things)プラットフォームとデータ収集システムを導入してラインの状況を把握する。
ツールはPTC製を全面的に利用する。3D-CAD「Creo」とデータ管理の「Windchill」は既に導入と運用を開始しており、ARシステム「Vuforia」も設計検討向けには利用を始めている。技術文書やサービス文書の扱いは「Arbortext」、IoTプラットフォームとデータ収集は「ThingWorx」「Kepware」を導入する。技術サービス業務では、事例情報を基にサービスの進め方やトラブル対応策を検索、参照できる「Service Knowledge and Diagnostics」も利用する。