PR

 フィンランドのNokia(ノキア)は2022年5月12日、研究施設「先端技術センター(ATC、東京・港)」でローカル5G(第5世代移動通信システム)の実証基盤を提供すると発表した。総務省からローカル5Gの実験試験局免許を取得し、ローカル5G通信に必要なシステムを新たに導入した。顧客はローカル5G環境下で、実機を使った共同開発や、技術の検証ができる。

ATCに導入したローカル5Gシステム
ATCに導入したローカル5Gシステム
(出所:日経クロステック)
[画像のクリックで拡大表示]

 既に製造業などに従事する顧客がATCに自らのデバイスを持ち込み、ローカル5Gを使った試験を始めている。具体的には、AGV(無人搬送車)の制御をローカル5G経由で行った例などがあった。日本だけでなく、タイやベトナムなど国外からも同所での実験を望む声が上がっているという。

 同日会見を開いたノキア最高経営責任者(CEO)のペッカ・ルンドマルク氏はローカル5Gについて「安全性、信頼性、性能の全てにおいて従来の無線通信より優れている」と強調。今後の利用拡大に期待を示した。

ノキア最高経営責任者(CEO)のペッカ・ルンドマルク氏
ノキア最高経営責任者(CEO)のペッカ・ルンドマルク氏
(出所:日経クロステック)
[画像のクリックで拡大表示]

 ルンドマルク氏は「ローカル5Gにより生産性を大幅に高められる」とし、導入企業例として、航空機のメンテナンスなどを手掛けるドイツLufthansa Technik(ルフトハンザテクニック)を紹介した。同社はコロナ禍で移動が制限される中、高解像度の映像をローカル5Gで送り、遠隔地からエンジン部品を検査した。0.3mmの傷も安定して発見できたという。

 ノキアのローカル5Gパートナー企業として会見に出席した日本マイクロソフトの担当者は、同社の技術とローカル5Gを組み合わせることで「デジタルツインを高度に実現できるようになる」と語った。日鉄ソリューションズの担当者は、「全国の製鉄所の作業員が安全確保のために身に着けているデバイスの通信が、ローカル5Gによって快適になるだろう」と期待した。