米Qorvo(クォルボ)は、+1200V耐圧のSiCパワー素子(SiC FET)を6製品発売した ニュースリリース 。6製品いずれも、+800Vの電源バスを使う車載充電器(OBC:On Board Charger)や産業機器向けバッテリー充電器/スイッチング電源、太陽光発電向けインバーター、溶接機、無停電電源装置(UPS)、誘導加熱器(IHヒーター)などに向ける。
新製品の特徴は、オン抵抗(RDS(ON))と全ゲート電荷量(Qg)の積で求める性能指数(FOM:Figure Of Merit)が0.9Ω・nCと低いことである。「+1200V耐圧SiCパワー素子の中では業界で最も低い」(同社)。このため電源回路やモーター駆動回路などに適用すれば、導通損失とスイッチング損失の両方を削減でき、変換効率を高められる。
同社は、2021年11月に米UnitedSiC(ユナイテッドSiC)を買収した。新製品は、買収以前にUnitedSiCが開発した第4世代のSiC FET技術を適用したものである。SiC FET技術では、ノーマリーオン特性の+1200V耐圧SiC接合型FET(JFET:Junction FET)に、耐圧が+20V程度のSiパワーMOSFETをカスコード接続することで、ノーマリーオフ特性を得ている。競合他社の多くが製品化するSiCパワーMOSFETと同様に使える。第4世代のSiC FET技術はすでに+750V耐圧品に適用済みである*
今回は、これに+1200V耐圧品を追加した。
* 関連記事 オン抵抗が5.9mΩと低い750V耐圧SiC FET、UnitedSiCが発売新製品の名称は「UF4C/SCシリーズ」。発売した6製品は、オン抵抗とパッケージが異なる。オン抵抗の選択肢は23mΩ、30mΩ、53mΩ、72mΩの4つ(いずれも標準値)。パッケージは、ケルビンソース接続を採用した4端子TO-247と3端子TO-247の2つを用意した。
オン抵抗が23mΩで、ケルビンソース接続採用の4端子TO-247に封止した「UF4SC120023K4S」は、最大ドレイン電流が53A(連続時)。全ゲート電荷量は37.8nC(標準値)。逆回復電荷量(Qrr)は341nC(標準値)。逆回復時間(trr)は27ns(標準値)。動作温度範囲は−55〜+175℃である。
6製品いずれも、すでに量産を始めている。1000個以上購入時の参考単価は、オン抵抗が72mΩで3端子TO-247に封止した「UF4C120070K3S」が5.71米ドル。UF4SC120023K4Sは14.14米ドル。残る4製品は、5.71〜14.14米ドルの範囲である。