横浜ゴムは、RFID(Radio Frequency Identification)を利用してマリンホースとコンベヤーベルトの損傷を予知する実証試験を開始した。通常の点検では捉えるのが難しい状態変化をRFIDで検知して遠隔で監視できることを、実際に稼働している製品で検証する。遠隔監視と損傷予知の技術を確立し、サービスとしての提供を目指す(図)。
* 横浜ゴムのニュースリリース: https://www.y-yokohama.com/release/?id=3804&lang=jaマリンホースには内部損傷による内圧変化などを検出できるRFIDタグを内蔵し、そのタグの情報を外部から読み取って異常を検知する。異常を早期に発見して損傷を予知することにより、オイル漏れを防ぐシステムの実現を目指す。現時点では人手でタグを読み取っているが、将来はドローンによる自律検知と、インターネットを利用した情報共有システムの構築を図る。
一方のコンベヤーベルトには、摩耗や損傷、温度変化などの検知が可能なタグを埋め込む。周囲に設置したアンテナによって自動でタグの情報を読み取り、異常を見付ける。実証実験では、RFIDで取得した各種データをインターネット経由で同社の開発部門へ送信する。これらのデータの分析を通して、コンベヤーベルトの損傷や火災を予知できる技術を確立する。
同社は2021~23年度の中期経営計画「Yokohama Transformation 2023(YX2023)」において、マリンホースやコンベヤーベルトを含む工業資材をMB(Multiple Business)事業の成長をけん引する柱の1つに位置付ける。マリンホースなどの海洋事業では「高シェアの維持」を、コンベヤーベルトについては「得意市場での圧倒的プレゼンスの確立」を目標に掲げており、これらの達成に向けた活動の一環として工業資材の遠隔監視・損傷予知技術を確立。現在の目視点検やカメラ監視に代わって「ユーザーの安全・安心」(同社)と「保全コストの最小化」(同)を両立できるサービスとして、同技術を提供していく考えだ。