KDDI社長の高橋誠氏は2022年5月18日までに日経クロステックの取材に応じ、楽天モバイルが「0円」から利用できる料金プランを廃止すると発表した後、基本料金0円で利用できるKDDIの料金プラン「povo2.0」への申し込みが、以前と比べて2.5倍に増えたことを明らかにした。楽天モバイルからMNP(モバイル番号ポータビリティー)でpovo2.0へ移行する利用者も増えており、高橋氏は「楽天モバイルとのMNPは、5月は絶対勝ち(転入超過)になるだろう」と自信を見せた。
楽天モバイルは22年5月13日、月間データ通信量が1ギガバイトまでは0円としてきた現行の料金プランを廃止し、同年7月1日から最低で月980円(税抜き)からとなる新料金プランへ改定する方針を発表した。同日開催した楽天グループの決算会見で、同社会長兼社長の三木谷浩史氏が「0円でずっと使われても困っちゃうというのが、ぶっちゃけな話かな。すごく正直を言って」と思わず漏らす場面もあった。
楽天モバイルの「0円」廃止の方針を受けて、SNS(交流サイト)には「信じられない」「失望した」「解約する」といった意見が数多く投稿された。
KDDIの高橋氏は22年5月13日に開催した決算会見で、基本料金0円で提供するpovo2.0について「やめる理屈はない。今のところ大きく変更する予定はない」と説明。これを受けて5月14日以降、povo2.0への申し込みが急増し、一時、本人確認に時間がかかる場面もあった。
楽天モバイルの「0円」廃止の方針は、急速に利用者の「楽天離れ」を呼んでいるようだ。楽天モバイルは同事業の早期黒字化を目指して「0円」廃止に踏み切ったものの、優良顧客を含めた利用者の大量流出につながれば、狙いは逆効果となりかねない。