独立系調査会社の英Opensignalは2022年5月11日(現地時間)、5GとWi-Fiの体験比較調査結果を発表した。自宅や公共の場所ではこれまでWi-Fiの方がモバイル接続よりも快適とされてきたが、Cバンドなど中周波数帯を使った「ミッドバンド5G」のサービスが開始された米国では、その競争力が大幅に高まっているとしている。
関連リポート: 5G beats Public Wifi for gaming as well as speed同社の調査によると、スマートフォンユーザーの平均5G下り速度はWi-Fiより速く、ゲーム時の体験でも、店舗やホテル、カフェなど公共の場で提供されているフリーWi-Fiに勝っている。5G使用時の体感は100ポイント中74.5、ミリ波を使う5Gの81.8に対し、フリーWi-Fiは72、家庭や企業向けWi-Fiが76.3となっている。
平均下り速度では、フリーWi-Fiの23.3Mビット/秒に対して5Gは112.9Mビット/秒と4.8倍、ミリ波5Gは571.6Mビット/秒と24.6倍も高速だったという。家庭や企業向けWi-Fiは89.6Mビット/秒だった。
平均上り速度では、5Gが15.6Mビット/秒と、4Gの7.9Mビット/秒のほぼ2倍だが、Wi-Fiの約19Mビット/秒よりは低速となっている。ミリ波5Gでは30.5Mビット/秒で、Wi-Fiより大幅に高速となる。
OpensignalはフリーWi-Fiが家庭や企業向けWi-Fiより遅い理由として、下記3点を挙げている。
- 免許が不要だからといって手軽に設置していることや、使用人数を予測することが難しいことから、通信の混雑や干渉が起きやすく、通信速度が低下しやすい
- フリーWi-Fiに接続されているブロードバンドは管理費用が抑えられていることから、古い技術を使った低速のものになりやすい
- 最新のWi-Fi 6Eでは6GHz帯も使えるが、フリーWi-Fiのアクセスポイントは古い規格のままとなっている
Wi-Fiは免許不要の周波数帯を利用することで5Gと共存し、費用面や柔軟性、通信容量の点で5Gを補完する役割を持つと報告している。しかし、米国で中周波数帯の5Gサービスが開始され、性能が劇的に向上したことで、5Gが価格面以外でWi-Fi を上回る存在になりつつあるとしている。