日本音楽著作権協会(JASRAC)は2022年5月18日、複数のデジタルサービスを2022年6月以降に順次展開していくことを発表した。デジタルを活用することで、個人クリエーターの創作支援や海外楽曲の利用状況の把握、ライブハウスなどで演奏された楽曲の著作権使用料の分配適正化などにつなげていく。

 ブロックチェーンを活用した楽曲の存在証明サービス「KENDRIX」のクローズドベータ版サービスを6月28日に始める。音楽クリエーターは自身が作詞・作曲などを手がけた楽曲の音源ファイルに、同サービスでタイムスタンプを付与できる。音楽配信サイトや動画サイトなどで楽曲を公開する前に同サービスを利用しておくことで、クリエーター本人になりすまして楽曲をアップロードするといった行為に対抗しやすくなる。JASRACの非会員を含め誰でも無料で利用でき、主にレコード会社などと契約せず個人で活動するクリエーターの利用を見込む。JASRACはブロックチェーンを活用する存在証明サービスをソニーグループと共同開発しており、2020年から2021年にかけて実証実験を実施していた。

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 韓国や台湾、東南アジアなどの音楽著作権管理事業者との間では、海外楽曲の作品情報などを共有できる「GDSDXシステム」の開発を2022年5月下旬に始める。各管理事業者は管理楽曲の作品情報と、グローバルに事業展開する配信事業者に登録されている同楽曲の音源情報をひも付けたデータセットをGDSDXシステムにアップロードしておき、他国・地域の管理事業者が検索・参照できるようにする。これまでアジアの管理事業者では海外楽曲の作品情報データベースが十分整備されておらず、海外楽曲の著作権使用料の徴収漏れも発生していたが、GDSDXシステムの開発・稼働によりそうした徴収漏れを減らしていく。2023年5月ごろをめどに稼働を始める。

 このほか、ライブハウスなどの施設内で演奏や再生などにより流れている楽曲を自動で特定するフィンガープリント技術の実用化も目指す。フィンガープリント技術による楽曲の特定機能を備えた小型端末「Audoo Audio Meter」を店内に置き、店内で流れた楽曲を集計していく。同端末を利用して施設内での演奏・再生楽曲を詳細に把握し、著作権使用料の精緻な分配を目指す。東京都渋谷区内のDJバーで2021年12月に実施した実証実験では良好な結果が得られたといい、引き続き検証を実施して実用化を目指す。