図研エルミックは、映像連携プラットフォーム「FA Finder」のオプションとして、人工知能(AI)による映像解析に必要な学習済みモデルを同社が準備する「AI映像解析オプション」の提供を開始した。ユーザーが学習済みモデルを作成する必要がなく、専門知識がなくてもAI映像解析を活用できるようになる(図1)。
FA Finderは、工場の監視カメラや高速カメラで取得した映像情報とFA機器やIoT(Internet of Things)エッジデバイスなどのデータを連携させ、相互制御を可能にするプラットフォーム。機器や他システムのイベントをトリガーに複数のカメラで自動で撮影したり、映像の解析結果を基に設備を制御したりできる。映像とIoTデータ、工程中のイベントを自動でひも付けるため、イベント駆動型の映像検証が可能だ。
新オプションでは、ユーザーの製造現場で撮影した映像を学習用データとして使い、同社が学習済みモデルを作成する。同モデルを活用することで、ユーザーごとに判断基準が異なる不具合や不具合の予兆を、AIがカメラ映像から認識できるようになる。
通常、そうしたAIモデルを構築するには、ユーザーの目的に合わせて“不具合”や“不具合の予兆”の判断基準をあらかじめ学習させる必要があり、それがスマートファクトリー化の障壁の1つになっていた。そこで同社は、新オプションによってユーザーの手間を省き「AI映像解析導入の障壁を下げること」(同社)を目指した。AI映像解析の実用性に不安を持つユーザーには、無償の事前確認サポートも提供する。
新オプションでは、製造現場のカメラ映像をAI解析し、解析結果をBI(Business Intelligence)ツールやPLC(Programmable Logic Controller)と連携させる機能も提供する。解析結果とBIツールを連携させれば、解析結果と製造情報を併用した詳細かつ迅速な異常原因の探索や、異常予兆の捕捉が可能になるという。解析結果とPLCなどの制御装置を連携させれば、例えば異常やその兆しに応じてロボットアームを自動で制御する、といった運用も可能になる。
同機能により、カメラ映像を活用して異常の原因究明から解決まで統合的に取り組むためのプラットフォームを構築できる(図2)。映像解析と予知保全、自動制御のシステムを個別に構築するのに比べて、コストを抑えられるとしている。