古河電気工業は2022年5月17日、報道陣向けにモビリティー関連技術の見学会を実施し、3つのデモを披露した。披露したのは、(1)電動キックボードのワイヤレス充電、(2)死角から車両が近づいてきたときに光や音で歩行者に知らせてくれる「インテリジェント歩道」、(3)T字路で死角からの車両の接近を表示と音で知らせてくれるV2X(Vehicle to Everything)通信の活用例――である。
(1)のワイヤレス充電は、路上に設けた充電ポートに、電動キックボードの前後の車輪を所定の位置に合わせるように滑り込ませると、自動で非接触給電を実行するというものだ(図1)。デモでは、充電をする代わりに、充電ポートに配したLEDを青く光らせることで模擬したが、幅(左右)方向の位置や左右の傾きといった位置合わせは大まかでよいという手軽さがある。
同ワイヤレス充電のシステムは、大林組と共同で実証実験を実施しているもので、古河電工は、1人乗りのマイクロモビリティー向けのワイヤレス充電システムとして、25年の実用化を目指している。最終的には、走行中充電の実現も目標に据える。
ワイヤレスの電力伝送に電界結合方式を適用することで、位置合わせの簡略化を図っている。充電ポートの路面には送電用の電極(送電カプラ)を、電動キックボードの底面には受電用の電極(受電カプラ)を配したカプラケースを組み込む(図2)。さらに電動キックボードには高周波電力(周波数27MHz)を直流電力に変換する「RF/DC変換回路」、および充電回路を追加し、充電ポートの周囲に高周波電源ボックス(出力50W未満)を設置することで、同システムを実現している。
現時点では、電動キックボードを対象としているが、電源ボックスの出力を増やしていくことで、より大型の1人乗りマイクロモビリティーへの適用を果たしていく考えだ。