ドイツMercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)は2022年5月17日、米Sila Nanotechnologies(シラ・ナノテクノロジーズ)が開発したシリコン(Si)負極を使ったLiイオン2次電池を、高級SUV「Gクラス」の電気自動車(EV)にオプションとして搭載すると発表した。ハイシリコン負極は、従来の黒鉛負極と比べて電池の安全性を損なうことなく、性能を維持しながらエネルギー密度を高められるのが特徴だとしている。
Silaのシリコン素材を使った負極は、エネルギー密度がセルレベルで800Wh/Lを超え、従来より20~40%増加する。これにより、従来の電池と同じスペースでより多くのエネルギー貯蔵が可能になり、航続距離が大きく伸びる。
Silaはこのシリコン負極材料をワシントン州の生産拠点で100%再生可能エネルギーを使って生産する。この拠点の生産ラインは、24年後半に試験稼働を始め、25年前半に完全生産に移行する予定。シリコン負極の電池は、20年代の半ばにGクラスEVの長距離モデルとしてオプション設定する予定。
Silaは米ジョージア工科大学からスタートアップとして2011年に設立された。同社のシリコンの負極材はウエアラブル端末の電池などで使われている。当初からEV向けの電池に使用することを目標に開発しており、2015年にはドイツBMWと開発パートナーシップを結び、2019年にはメルセデス・ベンツの親会社であるドイツDaimlerと長期的なパートナーシップを確立した。EV向けとして採用が決まるのは今回のGクラスが初めてという。