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 新光電気工業は2022年5月19日、先端半導体向けパッケージ基板を生産する新工場(長野県千曲市)の稼働を24年度下期に始めると発表した ニュースリリースのPDF 図1)。複数の半導体を実装して、パッケージ全体の性能を高めるための「フリップチップタイプパッケージ」を増産する。パソコンやサーバー向けに需要が高まっており、大手半導体メーカーなどに供給するもよう。

図1 千曲工場(長野県千曲市)の竣工イメージ
図1 千曲工場(長野県千曲市)の竣工イメージ
(出所:新光電気工業)
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 新設する千曲工場は22年6月に着工し、23年11月に竣工する予定だ。同工場が手掛ける高性能半導体向けのフリップチップタイプパッケージは、複数の半導体を組み合わせて実装する「チップレット」などに利用できる(図2)。パッケージ全体の高機能化・省電力化に役立つため、高性能なパソコンや大量のデータを処理するサーバーなどのCPU(中央演算処理装置)で需要が増加している。

図2 新光電気工業が生産する「フリップチップタイプパッケージ」
図2 新光電気工業が生産する「フリップチップタイプパッケージ」
(出所:新光電気工業)
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 これまで半導体を高性能化する手法は回路の集積度を高める「微細化」が主流だったが、近年はチップ間の通信や実装方法を工夫することでパッケージ全体の性能を高める「3次元実装」の重要性も高まっている。大手半導体メーカーは基板や素材などのサプライヤーと先端パッケージの共同開発を進めている。

 新光電気工業は21年10月、フリップチップタイプパッケージの増産に向けて22~25年度に総額で1400億円を投資すると発表しており、今回の千曲工場の新設もその一環だ。生産能力は従来比で約50%増える。既に同社は長野県の既存工場で増産投資を進めているという。