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 米Intel(インテル)CEO(最高経営責任者)のPat Gelsinger(パット・ゲルシンガー)氏は、ベルギーの研究組織imecが開催した年次イベント「FUTURE SUMMITS 2022」(ベルギー、2022年5月17~18日)において「経済安全保障のリスクに対応するため」として欧米での半導体生産の重要性を訴えた(図1)。半導体の生産がアジアに偏っている現状を説明し、「半導体工場が世界のどこにあるかは、石油の埋蔵量と同じくらい重要だ」と語った。バランスの取れた半導体サプライチェーン(供給網)の構築のため、欧米での半導体投資の取り組みを説明した。

関連イベント: 「FUTURE SUMMITS 2022」
図1 米Intel(インテル)CEO(最高経営責任者)のPat Gelsinger(パット・ゲルシンガー)氏
図1 米Intel(インテル)CEO(最高経営責任者)のPat Gelsinger(パット・ゲルシンガー)氏
(出所:Intel)
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 ゲルシンガー氏によれば現在、世界の半導体の約80%はアジア地域で生産されているという。新型コロナウイルスの感染拡大や地政学的リスクで半導体供給が混乱すると世界経済に大きな影響が生じるとして、国家戦略として欧米地域で半導体投資を支援する必要があるとした。経済安全保障リスクに対処する最善の方法は「欧米で半導体生産能力を増強し、グローバルでバランスの取れたサプライチェーンを構築することだ」(同氏)とした。

 実際に欧州連合(EU)は22年2月に半導体産業の強化を目的とする「欧州半導体法案」を発表している。これを受けて、インテルは22年3月、ドイツ東部のマグデブルクに170億ユーロ(約2兆2000億円)を投じて半導体の新工場を建設すると発表した。さらにフランスではハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)の研究開発拠点を設けたほか、アイルランドやイタリア、ポーランド、スペインなどでも工場や開発拠点の新設・拡張を進めている。

 同社は21年に、今後10年をかけてEUで800億ユーロを投資し半導体生産能力を拡大することを表明している。欧州には世界レベルの大学や研究機関、化学メーカー、半導体設計企業が拠点を構えているとして、最先端の研究に欠かせないとした。半導体露光装置の最大手であるオランダASMLへは22年1月に次世代の高開口数(High-NA)EUV(極端紫外線)露光装置を発注し、25年の量産適用を目指している。

 イベントには欧州委員会(EC)の委員長であるUrsula von der Leyen(ウルズラ・フォン・デア・ライエン)氏もビデオ登壇し、「パンデミックやロシアによるウクライナ侵攻で半導体不足の解消が遅れている」と指摘した(図2)。半導体不足で欧州の製造業が稼働を停止した事例を挙げ、「私たちの経済の未来は半導体にかかっており、欧州に半導体産業のリーダーシップを取り戻したい」とした。最先端半導体や人工知能(AI)への投資を強化する考えも示した。

図2 欧州委員会の委員長であるUrsula von der Leyen(ウルズラ・フォン・デア・ライエン)氏
図2 欧州委員会の委員長であるUrsula von der Leyen(ウルズラ・フォン・デア・ライエン)氏
(出所:imec)
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