ロームは、車載カメラモジュールに向けたパワーマネジメントIC(PMIC)の新製品を2つ発売した ニュースリリース 。応用先は、リア・ビュー・カメラや周囲監視向けカメラ、ドライブレコーダー、ドライバー・モニタリング・システムなどである。
新製品の特徴は、実装面積が3.5mm×3.5mmと小さい20端子VQFNパッケージに封止したこと。同社によると、「新製品には、異常電圧検知とI2Cバスによるフィードバックで構成した異常状態通知機構を載せた。この機構を搭載した車載カメラモジュール向けPMICでは業界最小の実装面積」という。同社従来品は4.0mm×4.0mmだった。これに比べると新製品では、実装面積を約23%削減した。
また新製品は、同社従来品に比べて集積度を高めた。具体的には、LDOレギュレーター回路とシーケンス設定用メモリーを取り込んだ。このためLDOレギュレーターICと出力電圧のシーケンス設定用抵抗2個の外付けが不要になった。「パッケージの小型化と外付け部品の削減によって、車載カメラモジュール向け電源回路全体の実装面積を従来の153mm2から今回の114mm2へと約25%縮小できた」(同社)。
2つの新製品はどちらも、4チャネルの電源回路を内蔵した。内訳は、3個のDC-DCコンバーター回路(VO1、VO2、VO3)と1個のLDOレギュレーター回路(VO4)。3個のDC-DCコンバーター回路の役割は以下の通り。VO1は、新製品の内部で使う電源電圧を作成する「プライマリDC/DC」。PMICの外部には出力しない。VO2は、CMOSイメージセンサーのデジタル回路に電力を供給する「セカンダリDC/DC1」。VO3は、CMOSイメージセンサーの入出力回路に電力を供給する「セカンダリDC/DC2」。LDOレギュレーター回路のVO4は、CMOSイメージセンサーのアナログ回路に電力を供給する「セカンダリLDO」の役割を担う。
発売した2製品の型番は「BD868C0MUF-C」と「BD868D0MUF-C」。3個のDC-DCコンバーター回路と1個のLDOレギュレーター回路それぞれの出力電圧と出力電流は、どちらも同じ。違いは出力電圧シーケンスの設定にある。2製品どちらもVO1、VO4、VO3、VO2の順番で立ち上がるが、VO1とVO4の間の期間が異なる。BD868D0MUF-Cの方が、BD868C0MUF-Cよりも長い。2製品の主な仕様は下表の通り。
2製品どちらも、自動車業界の機能安全規格「ISO 26262 ASIL-B」と、車載半導体ICの品質規格「AEC-Q100」に準拠する。動作温度範囲は−40〜+125℃。すでにサンプル出荷を始めている。サンプル品の参考単価はどちらも770円(税込み)である。
今後同社は、車載カメラモジュールに向けたPMICの品ぞろえを拡充する。具体的には、今回発売した2製品とは4チャネルの電源回路の出力電圧と出力電流が異なる「BD868A0MUF-C」と「BD868B0MUF-C」を製品化する予定である。なお、BD868B0MUF-Cは、寒冷地仕様の車載カメラモジュールに向けて、プライマリDC/DC(VO1)の出力をPMIC外部にも供給できる。
このほか、出力電流や出力電圧シーケンスの設定は今回発売したBD868C0MUF-Cと同じだが、ISO 26262 ASIL-Bに準拠しない「BD868C1MUF-C」の製品化を計画している。