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 ルネサス エレクトロニクスは、2014年に閉鎖した甲府工場(山梨県甲斐市)をパワー半導体の生産ラインとして24年に再稼働させる、と22年5月17日に発表した ニュースリリース 。このラインでは300mmウエハーを使って、電気自動車(EV)向けのパワー半導体を造る。半導体工場をほかの製品の工場として転用する例はいくつかあるが、閉鎖した半導体工場で再び半導体を造ることは珍しい。「再稼働に伴う設備投資は、経済産業省の半導体戦略を踏まえ、同省とも緊密に連携し、2022年中に実施する予定です」(ルネサス)としていることから、再稼働には経産省からの支援を受けるものとみられる。

甲府工場
甲府工場
正式には、ルネサスの製造子会社「ルネサス セミコンダクタ マニュファクチュアリング」の甲府工場である。(出所:ルネサス エレクトロニクス)
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 過去に同社がリストラを進める中で、甲府工場は閉鎖された。例えば、代表取締役社長を赤尾泰氏が務めていた12年7月には、同工場の200mmウエハーのラインは適正な形で稼働を続けるものの、150mmウエハーのラインは集約予定と発表された*1。代表取締役社長兼COOを鶴丸哲哉氏が務めていた13年8月には、両ラインとも1~2年以内に集約予定と発表した*2。そして2014年10月に同工場は閉鎖されるに至った。

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 今回ルネサスは、脱炭素社会の実現に向けてパワー半導体の需要が世界的に高まる中、特にEV向けのパワー半導体の需要が急拡大することを見込んで、甲府工場の再稼働を決めたという。900億円規模の設備投資を行い、同工場をパワー半導体の300ウエハーのラインとして24年に稼働再開させる。以前からの建屋を使い、新たに300mmウエハー向けの設備を導入する。クリーンルームの面積は1万8000m2で、IGBTやパワーMOSFETなどを生産する予定である。甲府工場が稼働すると、同社のパワー半導体の生産能力は現在の2倍になるという。