「循環型デジタル・エンジニアリング企業を目指す」。三菱電機執行役社長CEOの漆間啓氏は、2022年5月30日に開催した2022年度の経営戦略説明会でこう語り、品質問題で足元が揺らぐ中、顧客から得られたデータを活用して事業価値を生み出す「統合ソリューション」に注力して、事業を強化する方針を強調した。

三菱電機執行役社長CEOの漆間啓氏
三菱電機執行役社長CEOの漆間啓氏
経営戦略説明会で「循環型デジタル・エンジニアリング企業を目指す」と語った。(出所:三菱電機の配信動画)
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 同社の言う「循環型デジタル・エンジニアリング企業」とは、顧客のデータをデジタル空間上に集め、それを基にグループ内外の知見や技術を集結して社会課題に対するソリューションを提供しながら成長していく企業を意味する。具体的には、パワーエレクトロニクスやFA機器といった同社が強みとする製品群を連携させたシステムを構築するだけでなく、コンサルティングや保守運用を組み合わせて顧客に提案していく。こうした同社の事業方針は新しいものではなく、例えば2021年度の経営戦略説明会でも示していた。

 今回、漆間氏は「循環型デジタル・エンジニアリング企業」というキーワードを掲げ、改めてその方針を内外に向けて発信した。

 同社は2025年度に向けた中期経営計画の目標として、売上高5兆円、営業利益率10%を目指している。2021年度の売上高は前年度比7%増の4兆4767億円、営業利益率は0.1ポイント増の5.6%だった。

 目標の達成に向けて、同社は「FA制御システム」「空調冷熱システム」「ビルシステム」「電動化/ADAS(先進運転支援システム)」「パワーデバイス」の5分野を重点成長事業として位置付け、投資を進めている。

 例えば、2024年2月にトルコで新工場を稼働して欧州市場向け空調機器の生産を増強する他、2025年4月には愛知県尾張旭市でFA制御システム製品の新しい生産拠点を稼働させる計画だ。

FA制御システム製品の新たな生産拠点を新設
FA制御システム製品の新たな生産拠点を新設
約130億円を投じて愛知県尾張旭市に設立する。(出所:三菱電機)
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 将来の成長に向け、漆間氏は知的財産に関する戦略にも言及した。同社は特許の登録件数で国内1位、国際出願ランキングで世界5位と、「有数の知財創出力を持つ」(同社)。保有技術を活用したソリューション開発を進めるため、2021年4月に社内で保有特許の検索ツールを運用し始めた。また、2022年4月には社外との連携を促進するため、保有する技術の特許分布図を公開するなどの取り組みを進めている。

 知的財産の質的な増強も図る。具体的には、同社の出願特許に含まれるソリューション関連の比率を、現在の10%から25年度には30%に引き上げる。人工知能(AI)に関連する特許は、同5%から同10%に引き上げる計画だ。