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 トヨタ自動車の水素エンジン車が、今年も24時間耐久レースを完走した。周回数は478で、約2181km走った。初参戦だった2021年の358周(約1634km)から大幅に伸ばした。水素エンジンの大きな課題である「プレイグニッション(早期着火、以下プレイグ)」を抑制する手段が分かってきたことが寄与したようだ。

完走直後の水素エンジン車
完走直後の水素エンジン車
富士スピードウェイで開催された「スーパー耐久シリーズ2022」を走りきった。車名は「ORC ROOKIE Corolla H2 concept」。(撮影:日経Automotive)
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水素を充填している様子
水素を充填している様子
水素充填時間は、従来の約5分から1分半に短縮したという。(撮影:日経Automotive)
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 2022年6月4日から5日にかけて富士スピードウェイで決勝レースが開催された「スーパー耐久シリーズ2022」の第2戦に参戦した。レース車両の「ORC ROOKIE Corolla H2 Concept」は「カローラスポーツ」を改造したもので、水素エンジンや水素タンクなどを搭載した。水素エンジンは、排気量1.6Lで直列3気筒のガソリンエンジン「G16E-GTS」をベースにする。

市販化へ「4合目まで来た」

 同社はレースを「実験場」と位置付け、水素エンジン車の改良を続けてきた。耐久レースを前に開いた会見では、投入時期を未定としながらも市販化への意欲を示した。トヨタ執行役員でGAZOO Racing Company Presidentの佐藤恒治氏は、「富士登山になぞらえると、4合目くらいのところに来ている」と説明した。

 富士山頂、つまり市販化に向けて解決すべき技術課題の1つがプレイグである。点火前に着火してしまう現象で、最悪の場合はエンジンが壊れかねない。2021年の耐久レースでは「どのような条件でプレイグが起こるか把握できていなかった」(トヨタのエンジン技術者)ため、エンジンを守るために出力を抑えてレースに臨んだ。

 それから1年をかけて、トヨタは「プレイグ発生のメカニズムがつかめてきた」(同技術者)という。その結果、今回参戦したレース車両は出力を約20%、トルクを約30%向上できた。ベストラップは1分59秒876で、2021年から4秒ほど速くなった。