PR

 フランスValeo(ヴァレオ)の日本法人であるヴァレオジャパンは2022年6月6日、パワートレーンの電動化と先進運転支援システム(ADAS)に関する報道陣向けの試乗会を開催した。ヴァレオは、自動車業界で加速するパワートレーンの電動化と運転支援システムの性能向上に「イノベーションとテクノロジーで応えていきたい」〔ヴァレオジャパン取締役最高技術責任者(CTO)の武内稔氏〕考えだ。

 パワートレーンの電動化において公開した車両は、同社の電動システムを搭載した試作車「48Vライトeシティーカー」と「48V 4WD EV軽トラック」、後輪の車軸上にドイツValeo Siemens eAutomotive(ヴァレオシーメンスeオートモーティブ)製の電動アクスルを搭載した欧州Stellantis(ステランティス)の「DS 7 CROSSBACK E-TENSE 4×4」の3台だ(図1、2)。

図1 48Vライトeシティーカー
図1 48Vライトeシティーカー
(写真:日経クロステック)
[画像のクリックで拡大表示]
図2 48V 4WD EV軽トラック
図2 48V 4WD EV軽トラック
(写真:日経クロステック)
[画像のクリックで拡大表示]

 48Vライトeシティーカーは、ステランティスが「Citroen(シトロエン)」ブランド車として欧州で量産中の超小型電気自動車(EV)「AMI」をベースとした試作車である。ヴァレオが駆動システムに変更を加えた。

 モーターやインバーター、減速機を含むヴァレオの駆動システム「48V eAccess」を搭載する。同システムは48VのBSG(ベルト駆動式スターター兼発電機)をベースとしたEV用の駆動システムで、欧州における超小型モビリティー規格の「L6/L7」カテゴリーなど超小型EVへの搭載を想定している。

 試作車では性能を最大限発揮させるために、駆動システムの最高出力を、L6カテゴリーとして量産しているAMIの6kWから10.5kWに変更し、最高速度を45km/hから90km/hに引き上げた。試乗会で設けられたコースでは、L6カテゴリーの制限速度を上回る45km/h超の速度域でも力強い走りを見せた。

 48V 4WD EV軽トラックは、ヴァレオと群馬大学の「次世代モビリティ社会実装研究センター(CRANTS)」が共同製作した試作車だ。ヴァレオの48V電動アクスル「48V eDrive」を前後の車軸上に1機ずつ配置し、それぞれが最高出力で15kWを発生する。日本では「軽自動車より小さいニューモビリティーに適合する駆動システムだ」(ヴァレオの関係者)という。

 ADASに関しては、同社最新のLiDAR(レーザースキャナー)「SCALA 3」(プロトタイプ)を搭載した車両を公開した(図3)。SCALA 3は、300m以上先までの3次元空間(プロトタイプの視野角は水平方向が約120度、垂直方向が約26度とみられる)を捉えた450万画素の点群データを、25フレーム/秒の速度で生成できる。従来型と比べ、解像度や検知範囲、視野角を向上させており、試乗会当日は大雨だったが、道路上の白線や歩行者を鮮明に検知していた。2024年の量産を予定している。

図3 車両の天井に設置されたSCALA 3(プロトタイプ)
図3 車両の天井に設置されたSCALA 3(プロトタイプ)
(写真:日経クロステック)
[画像のクリックで拡大表示]