川崎重工業は2022年6月7日、子会社の川重冷熱工業(滋賀県草津市、以下、川重冷熱)が製造・販売する一部の吸収式冷凍機において、出荷前検査と顧客の立会検査でそれぞれ不正行為があったと発表した。さらに、一部の製品仕様書には事実と異なる記載もあった。不正な検査が行われていた期間は1984年から2022年の38年間。件数は出荷前検査が1950件におよび、そのうちの334件で立会検査での不正があった。

記者会見の様子
記者会見の様子
新たに川重冷熱代表取締役社長に就任した森宏之氏(左)と川崎重工専務執行役員の渡辺達也氏(右)。(オンライン会見をキャプチャー)
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 不正の内容は次のようなものだ。出荷前検査では、出荷前の試運転で本来得られていない冷凍能力*1のデータを作成して、検査成績書類に記載した。具体的には、90%程度の冷凍能力で試運転して得たデータを水増しして、あたかも100%の冷凍能力で得た結果であるような数値に改ざんした。

*1 冷凍能力 吸収式冷凍機に送られてきた冷水を所定の温度まで冷却する能力

 川重冷熱の吸収式冷凍機では、初回生産品(試作機または初号機)の性能試験で性能を確認し、品質は各量産機で行う工場での出荷前試運転により検証することで、販売する全製品の性能、品質を担保する方式を取っている。このとき、性能試験は100%の冷凍能力で測定し、出荷前試運転は90%程度の冷凍能力で運転して性能・品質を確認する。

 出荷前検査を90%の冷凍能力で実施する理由は、「製造後に冷凍能力100%に到達させるには30~50 時間の慣らし運転が必要だが、初回生産品の性能試験で所定性能は確認しているため、過去の実績データに基づき、冷凍能力90%程度の出荷前試運転で製品の性能、品質を担保できると判断している」(同社)ためだ。

 従って、本来、出荷前検査では100%の冷凍能力で検査する必要はなく、90%の冷凍能力で得た結果を、そのまま検査成績書に記せば問題はなかった。それにもかかわらず、冷凍能力100%で試験したかのように装う不正を行った。その理由については、「顧客から100%の冷凍能力のデータが求められているのではないかと、顧客に対して忖度(そんたく)していたのではないか」(川崎重工専務執行役員エネルギーソリューション&マリンカンパニープレジデント渡辺達也氏)とみられる。