ロームは、車載機器に向けたLDOレギュレーターICの新製品を6つ発売した ニュースリリース 。いずれも応用先は、パワートレーン系ECU(電子制御ユニット)やボディー系ECU、カーインフォテインメント機器などである。
新製品の特徴は、100nFと小さい静電容量の出力コンデンサーでも安定に動作すること。競合他社品は1μFや2.2μFといった比較的大きな容量の出力コンデンサーが必要だったため、新製品を使えば容量を1/10〜1/22に削減できる。「新製品を採用すれば、LDOレギュレーターICを使った電源回路の実装面積と部品コストの両方を約10%削減できる」(同社)。
また、車載機器の電源回路の設計工程を簡略化できるメリットもある。「推奨値は100nFだが、50n〜470μFの容量範囲であれば安定に動作する。このため、出力コンデンサーを載せ替えて、安定に動作する容量を探すという作業は基本的に不要になる。一方、当社従来品や競合他社品では、この作業が必須で、ユーザーはそれに1週間程度を費やしていた」(同社)。
新製品の名称は「BD9xxN1シリーズ」。今回は、出力電圧と搭載した機能の違いで6つの製品を用意した。出力電圧は、+3.3V固定と+5.0V固定、+1.0〜18.0Vの間で可変の3種類。搭載した機能は、出力停止スイッチの有無の2種類である。これらの掛け合わせで合計6製品になる。
入力電圧範囲は+3.0〜42.0Vと広い。車載バッテリーをそのまま入力に使える。いわゆる車載機器のプライマリー電源向けである。出力電圧の誤差は±2%。最大出力電流は150mA。パッケージは、外形寸法が2.9mm×2.8mm×1.25mmの5端子SSOP。動作温度範囲は−40〜+150℃である。新製品の主な仕様は下表の通り。
6製品いずれも、すでにサンプル出荷を始めている。サンプル品の単価は220円(税込み)。量産は22年8月に開始する予定である。
今後同社は、外形寸法が4.9mm×6.0mm×1.0mmの8端子HTSOP(HTSOP-J8)に封止した製品などを23年3月末までに発売する予定。さらに24年3月末までに、最大出力電流を500mAに高めた製品を市場投入する計画である。