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 独立系調査会社の英Opensignalは2022年6月7日(現地時間)、日本と韓国や台湾、香港といった他の東アジア市場との5G信号強度を比較した調査結果を公開した。日本の5G信号強度が他の3市場に比べて著しく低いことが確認できたとし、その原因や影響度、対策についても言及している。以下はその概要となる。

関連リポート(英語版): Struggles with 5G power levels risk damaging Japan’s 5G experience 関連リポート(日本語版): 5G出力レベルの取り組みが日本の5Gエクスペリエンスに悪影響を及ぼすおそれ

 今回の調査では、信号強度をSS RSRP(Synchronization Signal Reference Signal Received Power、2次同期信号基準信号受信電力)で数値化。その結果、日本の5G信号強度は平均-106.1dBmとなり、他の市場より著しく弱いことが判明した。

日本の4G信号強度は香港、韓国、台湾に比べ遜色ないが、5Gでは他の市場より信号強度が弱い
日本の4G信号強度は香港、韓国、台湾に比べ遜色ないが、5Gでは他の市場より信号強度が弱い
(画像:Opensignal)
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 一方、4G/LTEの結果を見ると、日本の平均4G信号強度は、香港、台湾とほぼ変わらず-95.4~-93.4dBmの範囲にあり、韓国はさらに強い-89.0dBmと、4市場とも良好となっている。

 この背景には、日本の事業者が電力消費量ガイドラインの範囲内で5G運用を行うよう求められていることが挙げられる。このガイドラインは、3400M~4200MHzを利用する静止衛星や、飛行場近くの高度計への干渉などを避けるために設けられている。なお、今回は3.5GHz帯と4.5GHz帯に限定した調査となっている。3.5GHz帯が多くの市場で使われているのに対し、4.5GHz帯は主に日本で使用されており、3.5GHz帯より電力レベルが急速に低下しやすい特徴があることも原因として考えられる。

 5G信号強度は、ユーザー体験にも大きな影響を与える。5G信号強度の平均下り5G速度への影響として、日本では「Good or better」(良好)の314.9Mbpsから「Weak or worse」(弱)の118.4Mbpsへと62.4%の速度低下が見られた。 この低下率は韓国では52.3%、台湾でも59.1%にとどまっている。

5G信号強度低下による5G下り速度への影響
5G信号強度低下による5G下り速度への影響
(画像:Opensignal)
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 4Gと5Gの通信状況と信号強度については、日本の5Gだけが接続時に50%超の確率で信号強度が弱の状態になることも判明した。この値は、香港(8.5%)、韓国(3.9%)、台湾(9.7%)に比べて著しく高い。また、日本で5G信号強度が良好なのはわずか19.4%にすぎず、こちらも他の市場の64.3~74.8%に比べ、著しく低い結果となっている。

日本では5G信号強度弱の状態が全体の53.9%に上る(他の市場では10%以下)
日本では5G信号強度弱の状態が全体の53.9%に上る(他の市場では10%以下)
(画像:Opensignal)
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 4Gで信号強度が弱の状態になるのは日本で16.6%、香港で13.6%、台湾で 18.3%とあまり変わらず、韓国は5.9%とやや優位に立っている。状態が良好となるのは、日本、香港、韓国とも50%超、台湾では46.1%となっている。

 5Gの信号強度は、5G可用性にも影響を与えている。2022年第1四半期のOpensignalの調査では、日本で5Gに接続できる時間はわずか4.1%だった。他の市場では、香港で21.7%、台湾で26.1%、韓国で30.9%となっている。

信号強度は5G可用性にも影響を与えている
信号強度は5G可用性にも影響を与えている
(画像:Opensignal)
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 Opensignalが2022年3月に発表した5G体験に関する最新ベンチマーク調査では、韓国と台湾、香港が5G到達度、5G可用性の両方で世界トップ15に入っている。一方で、日本は、どのカテゴリーでも世界のトップ15に入っていない。

 もし、日本の通信事業者が他の東アジア市場と同様の電力を供給し、信号強度を確保することができれば、日本の5G体験は世界レベルにまで向上することができると思われる。