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 エッジデバイス向けAI(人工知能)チップを手掛けるイスラエルのスタートアップ、Hailo(ヘイロ)は、2022年内にも同社製チップを組み込んだ複数の技術を日本で発表する(図1)。AIの演算を低消費電力で処理できるのが特徴で、大規模なサーバーなどを使うことなく機器の制御機能を高められる。自動車や建設機械の安全支援や小売店での顧客分析といった用途を想定する。

図1 イスラエルのHailoが実用化を進めるエッジ向けAIチップ
図1 イスラエルのHailoが実用化を進めるエッジ向けAIチップ
(画像:Hailo)
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 ヘイロは自動車関連メーカーを含む約60以上の日本企業と、エッジ向けAIチップを組み込んだ製品の開発や実証を進めている。例えば車載機器にAIチップを組み合わせた技術を2022年内にも公開する予定だ。ADAS(先進運転支援システム)などでの実用化が期待される。

 このほかにも工事現場の建設機械などに取り付けてセンサー情報をもとに周囲に作業者がいないかを把握し、事故を防止する用途を想定する。小売店では映像データを活用して来店客の性別や年代、人数、動線などを分析する用途を見込む。

 ヘイロのAIチップは、ニューラルネットワークのような複雑なAIの演算でも低消費電力かつ高速に処理できるというのが特徴だ。計算するAIモデルを事前にソフトウエアで分析して、処理に必要なプロセッサーやメモリーなどのリソースを割り振り、効率的に演算できるようにする。一方、AIの演算に多く使われるGPU(Graphics Processing Unit)は複数のプロセッサーを使って演算を処理するため、計算の前準備や消費電力が増えるといった課題があるとする。

 ヘイロCEO(最高経営責任者)のOrr Danon(オー・ダノン)氏は「消費電力を減らせば電池による駆動時間を長くしたり、冷却のための機器を省けたりと、製品の使い勝手を高められる」と語る(図2)。実際にヘイロが米NVIDIA(エヌビディア)のエッジ向けGPUと性能を比較したところ、システム面積は15分の1に小型化でき、電力効率は20倍高められた。車載電池の容量に航続距離が左右される電気自動車(EV)などで引き合いが高まりそうだ。

図2 HailoのCEOであるOrr Danon(オー・ダノン)氏
図2 HailoのCEOであるOrr Danon(オー・ダノン)氏
(写真:Hailo)
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 今後は自動車の運転支援やロボットの制御、生産現場での品質管理、ゲームや暗号資産のマイニングなどへの利用も想定する。欧州市場では2026年にも自動車のADAS向けとして採用の検討が進んでおり、トラックなど商用車への採用が期待されている。