パナソニックホールディングス(以下、パナソニックHD)は2022年6月13日、同社の技術部門における戦略説明会を開催し、同年1月4日に発表した2050年に二酸化炭素(CO2)の排出量を約3億t削減する目標「Panasonic GREEN IMPACT」の達成に向けた技術的な方策の詳細を明らかにした(図1)。3億tは、2019年の世界のCO2総排出量のおよそ1%に相当する。

 具体的には、「再生可能エネルギーの活用」と「需給バランス調整」の領域での技術開発を強化する(図2)。再生可能エネルギーの活用では、水電解装置やペロブスカイト太陽電池、水素燃料電池に注力。需給バランス調整では、蓄電池やEV(電気自動車)ソリューションの開発を進める。

図1 「Panasonic GREEN IMPACT」の概要
図1 「Panasonic GREEN IMPACT」の概要
約3億tのうち、[1]1.1億tは2020年時点で同社のバリューチェーンにおける排出をゼロにした際の削減量、[2]1億tは既存事業の製品などが排出削減に貢献した分、[3]1億tは新技術や新事業が排出削減に貢献する分、としている。このうち、技術部門では[3]に「大きな責任を負っている」〔同社CTO(最高技術責任者)の小川立夫氏〕という。(出所:パナソニックHD)
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図2 「Panasonic GREEN IMPACT」の達成に向けて同社が注力する開発テーマ
図2 「Panasonic GREEN IMPACT」の達成に向けて同社が注力する開発テーマ
(出所:パナソニックHD)
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「世界最高」効率の太陽電池の実用化を加速

 ペロブスカイト太陽電池では、パナソニックはインクジェット印刷技術を活用した造ったモジュールで「世界最高」(同社)のエネルギー変換効率17.9%を達成したと2020年に発表しており、その実用化を急ぐ(図3)。ペロブスカイト太陽電池は、従来のシリコン太陽電池と比較して、軽量かつデザインやサイズの自由度が高いという特徴に加えて、同社の印刷技術で安価に製造できる。ビルの壁面や窓ガラスなど、従来設置が難しかった場所での発電が期待できる。

図3 パナソニックのペロブスカイト太陽電池の特徴
図3 パナソニックのペロブスカイト太陽電池の特徴
縦30cm×横30cm×厚さ2mm、開口面積804cm2のペロブスカイト太陽電池モジュールにおいて、エネルギー変換効率17.9%を達成した。(出所:パナソニックHD)
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 電力の需給バランスを調整する「DERMS(Distributed Energy Resource Management System、分散型電源管理システム)」に必要なデバイスやシステムの開発も強化する。出力が不安定な太陽電池などの再生可能エネルギーをはじめとした、様々なDER(Distributed Energy Resources、分散型電源)の利用拡大には、「DERMSの普及がカギとなる」〔同社CTO(最高技術責任者)の小川立夫氏〕からだ。実用化に向けては、電気自動車の充電ステーション向けのDERMSを米電力会社に提供し、米国内で実証試験を進める計画を掲げる。

 具体的な開発投資金額は明かさないが、「2000億円の技術基盤への戦略投資から充当する」(小川氏)という(図4)。同社は、2022年度からの3年間で成長領域に4000億円、技術基盤に2000億円を投じると、2022年4月1日に発表した中期計画の中で説明していた。

図4 パナソニックHDCTOの小川氏
図4 パナソニックHDCTOの小川氏
(オンライン説明会をキャプチャー)
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