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 東京計器は2022年6月15日、小型のSAR(合成開口レーダー)衛星を開発・運用するベンチャーのSynspective(東京・江東)と、同衛星の量産化に向けたパートナーシップを締結したと発表した。Synspectiveは2026年ごろまでに30機体制の衛星コンステレーションの構築を計画しており、衛星量産化のパートナーを探していた。

 東京計器は栃木県にある同社の那須工場内に新たにクリーンルームを備えた衛星組み立て棟を建設し、数年以内の量産開始を目指すとしている(図1)。現時点では協議を開始した段階で、「実行計画など具体的な内容についてはこれから決める」(Synspective広報担当)としている。

図1 東京計器の那須工場
図1 東京計器の那須工場
栃木県那須郡に位置する。この工場内に新たにクリーンルームを備えた衛星組み立て棟を建設する予定(写真:東京計器)
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 Synspectiveは人工衛星の開発・運用だけでなく、衛星データの解析、販売、顧客の課題を解決するソリューションまでをワンストップで提供している。同社は既に、小型のSAR衛星「StriX(ストリクス)」の実証機を2機打ち上げて運用しており、2023年内に合計6機、2026年ごろに30機体制を目指している(図2)。

図2 Synspectiveの小型SAR衛星「StriX」。
図2 Synspectiveの小型SAR衛星「StriX」。
これまでのSAR衛星と比較して大幅な小型・軽量、低コスト化を実現した。7枚のアンテナパネルは打ち上げ時に折りたたまれ、小型ロケットのフェアリング(先端部の部品)にも収まるサイズになる。衛星が周回軌道に乗った後は、アンテナは自動的に展開し、長さ約5mの大型パネルアンテナになる(写真:Synspective)
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 これまでは衛星を自社やJAXA(宇宙航空研究開発機構)の施設で組み立ててきたが、衛星コンステレーションの構築を見据えて量産化に乗り出す。

 一方、東京計器は長期ビジョンとして掲げている「東京計器ビジョン2030」の中で、宇宙事業を新たな成長ドライバーの候補に挙げている。これまでSynspectiveに対しては、SAR衛星用のマイクロ波パワーアンプモジュールを納入してきたが、今回のパートナー選定を受け、衛星の組み立てという新しい事業に乗り出す。「(船舶運航や河川水位計測など)小型SAR衛星によるリモートセンシングが当社の既存ビジネスとも親和性が高い」(東京計器広報担当)のが、参入の理由の1つとしている。

 なお、東京計器では「年間で十機以上の生産を期待している。それに伴い、衛星に搭載するモジュールの生産なども増加すると考えている」(同)という。