ロームは、+650V耐圧のファスト・リカバリー・ダイオード(FRD)の新シリーズ(図1)を2種類発売した ニュースリリース 。応用先はいずれも、電気自動車(EV)充電ステーションやエアコン、冷蔵庫、洗濯機、産業用ロボット、サーバーなどに搭載する電源回路である。例えば、EV充電ステーションでは2次側整流回路に使う。
新製品は、同社の第4世代に当たるファスト・リカバリー・ダイオードである。特徴は、電源回路の変換効率を高められること。ダイオードによる電力損失の2大発生源である順方向電圧(VF)と逆回復時間(trr)を低減することで実現した(図2)。
発売した新シリーズの1つである「RFLシリーズ」は低VFタイプ。VFは+1.5V(最大値)と低く、trrは55ns(最大値)と短い。同社従来シリーズ(RFNシリーズ)と比べると、VFは約3.2%、trrは約8.3%低減した。
もう1つの新シリーズである「RFSシリーズ」は高速trrタイプ。VFは+2.3V(最大値)と若干高いが、trrは35ns(最大値)と短い。同社従来シリーズ(RFUHシリーズ)と比べると、VFは約17.9%低減したが、trrは同じである。
また2つの新シリーズは、ダイオードがオンからオフに切り替わるとき(スイッチングオフ時)に発生するノイズを低く抑えられるという特徴がある。「このため、ノイズ対策部品を削減でき、設計負荷の軽減が可能になる」(同社)。
今回、2種類の新シリーズそれぞれで2つずつ新製品を発売した。すなわち、合計で4製品を発売した(図3)。
RFLシリーズでは、「RFL30TZ6S」と「RFL60TZ6S」を用意した。前述のVFが+1.5V(最大値)、trrが55ns(最大値)の製品は、前者である。後者は、VFが+1.5V(最大値)で、trrが75ns(最大値)。
RFSシリーズの2製品は「RFS30TZ6S」と「RFS60TZ6S」。前述のVFが+2.3V(最大値)で、trrが35ns(最大値)の製品は前者である。後者は、VFが+2.3V(最大値)で、trrが55ns(最大値)である。
パッケージは4製品いずれも、外形寸法が15.94mm×41.02mm×5.02mmの2端子TO-247。最大動作接合部温度は+175℃ある。4製品の主な仕様は下表の通り。
4製品いずれも、すでに量産を始めている。サンプル価格は770円(税込み)である。