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 米Stratasys(ストラタシス)CEOのYoav Zeif氏は2022年6月20日、東京都内で会見し「3Dプリンター(アディティブ製造装置)による実製品製造を拡大したい。世界各地で同じ品質の製品が造れ、長い距離を輸送せずに済むため、昨今の世界情勢が3Dプリンターの追い風になっている」と語った。造形装置の提供に加えて材料の開発や、データの準備に関わるさまざまな作業を効率化するなどの支援を進めるという。

米Stratasys CEOのYoav Zeif氏
米Stratasys CEOのYoav Zeif氏
(写真:日経クロステック)
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 Zeif氏によれば、2025年にアディティブ製造の市場規模は400億米ドル以上になり、そのうちの60%がポリマー(プラスチック)による造形になるという。さらに「2025年にはアディティブ製造における実製品製造の割合が80%を超えて大部分を占め、試作品は一部になり、現状と逆転する」(Zeif氏)との強気の見方を示した。新型コロナウイルス感染症の拡大などによって生じている部品供給の停滞や安全保障上の情勢により「米国でも国内で部品や製品を造り、中国からの輸入に頼らない態勢づくりを政権が重視しはじめている。持続可能性の点でも、アディティブ製造によってニーズがある場所の近くで造れれば、輸送に使う時間と燃料を削減できる」(Zeif氏)という。

 その例として、Zeif氏は3Dプリンター「F900」(ストラタシス)を25台採用した米国海軍の例を挙げた。F900はFDM(熱溶解積層)方式により900mm角強と大きなサイズの造形ができるハイエンド機。米海軍は日本やドイツを含む世界各地の基地にF900を置き、航空機用の補給部品などを必要に応じて造形する。そのような態勢を確立するに当たっては「部品や製品の設計、造形方法の決定、造形データの作成と検証、セキュリティーを保った形での3Dプリンターへのデータ転送などを総合的に支援する必要がある」(Zeif氏)とした。

 さらに、アディティブ製造に使える材料の開発も強化する。ストラタシス自身で開発するだけではなく、材料メーカー向けに「オープンマテリアルライセンス」を提供し、実機を利用しながら耐薬品性の高いプラスチックや、耐熱性の高いプラスチックなどを開発してもらっている。この仕組みで利用可能になった新材料は、既に16種類ある。

 射出成形などの既存工法を置き換える上では、3Dプリンターにも量産能力が必要になる。「SAF(Selective Absorption Fusion)方式の3Dプリンターなら月産1万個規模の量産が可能であり、自動車部品メーカーでコネクターやスイッチなどの部品製造に使っている例がある」(Zeif氏)。SAF方式は、水平に敷き詰めた粉体材料に対して、赤外線を吸収する液体で断面形状を描き、赤外線ランプで断面部分を溶融、固化して造形する方法。ポリプロピレン(PP)やポリアミド12(PA12)を材料として利用できる。

SAF方式の3Dプリンター「H350」。(写真:Stratasys)
SAF方式の3Dプリンター「H350」。(写真:Stratasys)
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